請 負

2026年(令和8年)10月本試験対応

結果が全て!委任との違いから「契約不適合責任」の法改正まで一挙にマスター

1請負とは何か

請負(うけおい)とは、一方の当事者(請負人)がある仕事を完成させることを約束し、相手方(注文者)がその仕事の結果に対して報酬を支払う契約です。最大のポイントは「働いた時間や努力」ではなく、「仕事の完成という結果」に重きが置かれている点です。

典型例:住宅の建築やリフォーム

Aさん(注文者)が工務店B(請負人)に「家を建ててほしい」と依頼し、Bが完成した家を引き渡したら、Aが代金を支払う——これが請負の典型です。途中で少し作業しただけでは、原則として報酬はもらえません。

注文者 A 仕事を頼む側 請負人 B 完成させる側 建物を完成させる 完成した結果に対して報酬を支払う キーワード:仕事の「完成」が目的
学習のコツ
【学習のコツ】「完成」という言葉にアンテナを張る

宅建の民法において、請負に関する問題文を読むときは常に「完成」という文字を探してください。完成するまでは注文者からいつでも解除できる、完成して初めて報酬がもらえる、完成した結果に不具合があれば契約不適合責任を負う……すべては「完成」を軸にしてルールが組み立てられています。

2請負と委任の違い

宅建試験で頻出の引っかけパターンが、「請負」と「委任」のルールの混同です。この2つは「他人に何かを頼む」という点では似ていますが、契約の目的が決定的に違います。

請負(結果重視)

仕事の完成(結果)を約束する契約です。(例:家を建てる、スーツを仕立てる)

  • 結果を出して初めて報酬が発生する(有償が基本)。
  • 結果に問題があれば契約不適合責任を負う。
委任(プロセス重視)

法律行為や事務処理を行うこと(プロセス)を引き受ける契約です。(例:弁護士に裁判を頼む)

  • 原則として無報酬(特約が必要)。
  • 「善管注意義務」をもって真面目に処理すれば、結果的に裁判に負けても責任は問われない。
試験で迷ったときの見分け方
何を約束した契約か? 仕事の「完成」 建物完成・修繕完了など → 【請負】のルール 「事務処理」自体 代理・交渉・管理など → 【委任】のルール

3報酬の支払時期と途中終了

請負人は、いつお金(報酬)をもらえるのでしょうか?

① 報酬は「引渡しと同時」が原則

請負の報酬は、原則として仕事の目的物の引渡しと同時に支払われます。家を建てるような「引渡しが必要な仕事」の場合は引渡しと同時、引渡しが不要な仕事の場合は「仕事の完成後」に請求できます。完成前に全額を当然に請求することはできません。

② 途中で終わってしまった場合(割合的な報酬請求)

民法改正で整理された重要なルールです。仕事が完成する前に、解除されたり、請負人の責任ではない理由で仕事ができなくなった場合、それまでの作業はタダ働きになるのでしょうか?
答えは、「既に完成した部分が可分(分けられる)であり、注文者がそこから利益を受けるとき」は、その部分を完成とみなし、請負人は利益の割合に応じて報酬を請求できます

重要ポイント
【重要ポイント】完成前でも報酬がもらえる条件
  • 仕事が完成する前に契約が解除された、または請負人の帰責事由なしに仕事の完成が不能となった。
  • 請負人が既に済ませた部分(出来高)があり、それが分割可能である。
  • 注文者がその出来高部分から「利益を受けている」(そのまま使える状態など)。

4契約不適合責任と1年通知

引き渡された目的物(例:新築の家)が、種類や品質に関して契約内容に合っていなかった場合(雨漏りがする等)、請負人は契約不適合責任を負います(※旧民法の「瑕疵担保責任」です)。

注文者が使える4つの武器

不具合があった場合、注文者は以下の順で対応を求めることができます。
追完請求(直して!代わりの物をちょうだい!)
代金減額請求(直してくれないなら安くして!)
契約の解除(目的が達成できないなら解約する!)
損害賠償請求(被った損害を弁償して!)

期間制限(1年以内の通知)

注文者は、不適合を知ってから1年以内に請負人に「通知」しなければ、これらの権利を失います。
※注意:1年以内の通知が必要なのは「種類・品質」の不適合のみです。「数量」不足や「権利」の不適合は、消滅時効の一般原則(知ってから5年等)が適用されます。

注意ポイント
【注意ポイント】建物の請負契約における「解除」の法改正

昔の民法では、「完成した建物」に重大な欠陥があっても、壊して更地に戻すのは社会経済的にもったいないという理由から、注文者は契約を解除できないというルールがありました。しかし民法改正によりこのルールは削除されました。現在では、建物の請負契約であっても、契約不適合により契約の目的が達成できない場合は、注文者は契約を解除することができます。ここが非常によく引っかけで出題されます!

特則・例外パターン ルールの内容
注文者の材料や指図が原因の場合 注文者が提供した材料の性質や、注文者の指図によって不適合が生じた場合、請負人は責任を負いません。(※ただし、請負人が「その材料はダメだ」と知りながら告げなかった場合は責任を負います)
免責特約の有効性 「請負人は契約不適合責任を負わない」という特約を結ぶことは有効です。(※ただし、請負人が不適合の事実を知りながら告げなかった場合は、特約があっても責任を免れません)
◁ 横スライド ▷

5解除のルール

請負契約は、仕事が「完成」するまでであれば、注文者から自由にやめることができる特別なルールがあります。

① 注文者による完成前の「自由解除」

注文者は、請負人が仕事を完成しない間は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができます。

ここは「いつでも解除できる」だけで覚えるのはNGです。必ず「損害を賠償して」をセットで覚えてください。理由なしでやめられる代わりに、請負人がすでに投じた費用などの損害はカバーしなければなりません。

② 注文者が破産した場合の解除

注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人または破産管財人は、契約を解除することができます。この場合、請負人は、既に済ませた仕事の報酬や立て替えた費用について、破産財団の配当に加入することができます。

※ただし、この場合において、契約の解除によって生じた損害の賠償は「お互いに請求することができない」のが特徴です(破産というやむを得ない事情のため)。

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「仕事が完成したか?」「契約不適合か?」「1年以内か?」など、問題文を読む順番をフローチャート化。

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請負 ひっかけ対策集 10選

「建物の請負は解除できない」「完成前でも全部報酬がもらえる」などの頻出ひっかけワードとその見破り方。