「公信力ゼロ」「共同申請が原則」「仮登記は順位だけ」─ 3つのキーワードで試験の落とし穴を完全攻略!
1 不動産登記の超基本(公信力がない!)
不動産登記とは、「この土地はどこにあって、誰の持ち物か」を国(法務局)の帳簿に記録し、一般に公開する制度です。
しかし、日本の登記制度には「公信力(こうしんりょく)がない」という非常に重要な(そして少し怖い)特徴があります。
【重要】登記には「公信力」がない!
登記簿に「Bさんの土地」と書かれていても、それが絶対的に正しいとは限りません。もし登記が間違っていて、それを信じて買ったとしても、真の所有者が現れたら勝てないのです。
「日本の登記には公信力がない」=「登記を信じたからといって保護されるわけではない」という大原則を覚えておきましょう。
【重要ポイント】公信力vs対抗力の違い
- 公信力(ない)…登記を信じて取引しても、真の所有者が別にいれば保護されない
- 対抗力(ある)…登記を先に備えた者は、後から同じ権利を主張する第三者に対して自分の権利を主張できる(民法177条)
- ※「公信力がない」と「対抗力がある」は別の話!試験で混同させるひっかけが頻出です。
【注意ポイント】民法94条2項との関係
「公信力がない」が大原則ですが、例外として民法94条2項(虚偽表示における善意の第三者保護)が類推適用されるケースがあります。虚偽の登記名義を放置した真の所有者に帰責性がある場合に、善意の第三者が保護される場面です。本試験でも「原則として公信力なし、ただし例外あり」という構造で問われることがあるので注意しましょう。
2 登記記録の3層構造(表題部・甲区・乙区)
1つの不動産(1筆の土地、1個の建物)につき、1つの「登記記録」が作られます。登記記録は大きく分けて以下の3つの部分(層)で構成されています。
表題部(表示に関する登記)の「義務」
建物を新築した時や、土地の地目(使い道)が変わった時など、物理的な状況が変わった場合は、1ヶ月以内に「表示に関する登記」を申請する義務があります。(※甲区・乙区の権利に関する登記には、このような義務はありません)
表題部と甲区は通常セットで存在しますが、その不動産にローン(抵当権)などを設定していなければ、「乙区」は存在しません。(乙区がない登記簿もあります)
【学習のコツ】「表・甲・乙」は必ず3層セットで覚える
登記記録の構造は「表題部(物理情報)→ 甲区(所有権)→ 乙区(それ以外の権利)」という3層構造です。「甲区は誰が持ち主か」「乙区は抵当権など」と役割を紐付けて覚えると、本試験で出題文を読んだとき即座に判断できます。また「乙区は必ずあるわけではない」という点も忘れずに。
【注意ポイント】「1ヶ月以内」の義務があるのは表題登記だけ!
1ヶ月以内に申請義務があるのは表示に関する登記(表題登記)のみです。甲区に行う「所有権保存登記」には申請期限・義務はありません。「保存登記も1ヶ月以内に申請しなければならない」という出題は誤りです。非常によく出るひっかけなので注意しましょう。
3 登記の申請ルール(原則:共同申請)
登記は、勝手に一人で書き換えることができません。登記を書き換えることによって「得をする人」と「損をする人」が一緒に申請(共同申請)するのが大原則です。
登記権利者(得をする人)
登記記録上、権利を得るなどの利益を受ける人。
(例:売買契約における「買主」)
登記義務者(損をする人)
登記記録上、権利を失うなどの不利益を受ける人。
(例:売買契約における「売主」)
【重要ポイント】共同申請が原則である理由
登記は権利関係を公示する重要な制度です。もし一人で自由に書き換えられると、「売主が勝手に登記を消す」「買主が勝手に自分名義にする」といった不正が起こりうります。そのため、「得をする人(登記権利者)と損をする人(登記義務者)が共同で申請する」ことで互いにチェックし合い、不正を防ぐ仕組みになっています。
【注意ポイント】登記申請の方法
登記の申請は、①書面(申請書)を法務局に持参または郵送する方法のほか、②オンライン申請も認められています。また、登記申請に代理人(司法書士など)を使うことも可能で、代理人による申請も共同申請の原則に反しません。本試験で「登記はオンラインで申請できない」という選択肢が出た場合は誤りです。
4 【超重要】「単独申請」できる例外
原則は共同申請ですが、相手が協力してくれない場合や、そもそも相手が存在しない場合などには、例外的に「単独で申請」することが認められています。宅建試験で最も出題されるのがこの「単独申請の例外」です。
単独で申請できる主なケース
-
判決による登記
相手が協力しないので裁判を起こし、「登記に協力しろ」という判決(勝訴判決)を得た場合。権利者(勝訴した側)が単独で申請できます。 -
相続・合併による登記
前の持ち主が死亡(相続)や会社の消滅(合併)により、登記義務者が存在しない場合。権利者(相続人・存続会社)が単独で申請できます。 -
表題登記(表示に関する登記)
新築した建物の最初の登記など。物理的状況の報告なので損得がなく、所有者が単独で行います。1ヶ月以内の申請義務あり。 -
所有権「保存」登記
甲区に初めて所有者を記録する登記。表題部に記載された所有者が単独で申請できます。申請の期限・義務はありません。 -
仮登記名義人による仮登記の抹消
仮登記を消す場合、仮登記名義人本人が単独で申請できます。また、仮登記名義人の承諾があれば、利害関係人も単独で抹消申請が可能です。
【学習のコツ】単独申請の例外を「理由」とセットで覚える
単独申請の例外は「相手がいない(相続・合併)」「裁判所が認めた(判決)」「そもそも損得のない手続き(表題登記・保存登記)」「本人が消したい(仮登記抹消)」という理由を理解することで、見慣れない選択肢でも正誤を判断できます。パターン丸暗記よりも「なぜ単独が許されるのか」を意識しましょう。
【注意ポイント】「相続」と「遺贈」の違い
相続による所有権移転登記は単独申請が可能ですが、遺贈(遺言による贈与)による所有権移転登記は、相続人(登記義務者)と受遺者(登記権利者)の共同申請が必要です(ただし、遺贈者と相続人が同一の場合は単独でも可能)。「相続なら単独、遺贈なら共同が原則」という違いがひっかけとして出題されます。
5 仮登記(とりあえずのキープ)
「まだ必要書類が揃っていないけど、とりあえず他の人に取られないように順番(順位)だけ確保しておきたい!」という場合に行うのが仮登記(かりとうき)です。
仮登記をしておくと、後で「本登記」をした時に、その順位が「仮登記をした時」にさかのぼります(順位保全効)。
第三者に「俺の土地だ!」と主張(対抗)するためには、必ず「本登記」まで進める必要があります。仮登記のままでは負けます。
仮登記の種類
1号仮登記
登記の申請に必要な添付情報(書類)が揃っていない場合に行う仮登記。権利自体は既に発生している。
(例:売買契約は締結したが、まだ代金決済・書類準備が完了していない場合)
2号仮登記(条件付権利等の仮登記)
権利変動の請求権(将来の権利)を保全するための仮登記。権利自体はまだ発生していない。
(例:将来一定の条件が成就したら所有権移転する旨の請求権がある場合)
仮登記の申請(単独申請の特則)
仮登記も原則は「共同申請」ですが、以下の場合は単独で仮登記を申請できます。
- 仮登記義務者(売主など)の承諾がある場合
- 裁判所が発行した「仮登記を命ずる処分」がある場合
※なお、「仮登記の抹消」は、仮登記名義人が単独で、または利害関係人が仮登記名義人の承諾を得て単独で行うことができます。
【重要ポイント】仮登記の本登記と第三者への影響
- 仮登記に基づいて本登記をすると、その順位は仮登記の時点にさかのぼる
- 仮登記後に登記された第三者(Cなど)の権利は、本登記によって順位が後回しにされる(Bが優先)
- ただし!仮登記に基づく本登記をする際、登記上の利害関係人(中間者)の承諾が必要です
【注意ポイント】仮登記で「対抗」はできない!
仮登記には順位保全効はあっても対抗力はありません。たとえAが先に仮登記を備えていても、その後BがAより先に本登記を備えてしまえば、Aは仮登記だけではBに対抗できません。対抗力を得るには必ず本登記まで完了させることが必要です。「仮登記があれば第三者に対抗できる」という出題は誤りです。
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