区分所有法

2026年(令和8年)10月本試験対応

「過半数・3/4・4/5」の数字を制す者が宅建を制す!分譲マンションの決議ルールと法改正を一挙マスター!

1マンションを構成する「3つの部分」

分譲マンションに関する法律用語では、マンションは以下の3つの要素から成り立っています。

101号室 102号室 ① 専有部分 (居住する各部屋) エントランス・階段・廊下 ② 共用部分 (みんなで使う場所) マンションの建つ土地 ③ 敷地利用権 (土地を使う権利)
1. 専有部分

区分所有権の目的となる建物の部分(101号室など)。独立して住居や店舗として使える部分のことです。

2. 共用部分

専有部分「以外」の建物の部分。廊下、階段、エレベーターなど、区分所有者全員で共有する部分です。

3. 敷地利用権

マンションの建つ土地を利用する権利(所有権や借地権)。

【超重要】分離処分の禁止

「101号室(専有部分)だけをAさんに売り、101号室の土地の持ち分(敷地利用権)だけをBさんに売る」といったことは原則としてできません。これを分離処分の禁止と呼びます。
※ただし、規約に別段の定めがあれば、例外的に分離処分が可能です。

学習のコツ
【学習のコツ】3要素の「つながり」をセットで覚える

「専有部分+共用部分+敷地利用権」は切り離せないセットです。専有部分を売れば、共用部分の持分と敷地利用権も自動的についてきます(分離処分の禁止)。この「三位一体」の発想を最初に押さえておくと、後の決議要件の学習もスムーズに進みます。

重要ポイント
【重要ポイント】区分所有権の目的となる「専有部分」の要件
  • 構造上の独立性:床・壁・天井などで他の部分と区切られていること
  • 利用上の独立性:居住・店舗・事務所など単独で利用できること
  • この2つを両方満たす部分だけが専有部分として区分所有権の対象になります。

2共用部分の「法定」と「規約」の違い

共用部分には、性質によって「法定共用部分」と「規約共用部分」の2種類があります。登記ができるかどうかの違いがよく狙われます。

種類 具体例 登記の可否
法定共用部分
構造上、当然にみんなで使う場所
廊下、階段室、エレベーター室、屋上など 登記できない
(見れば誰でも共用部分だと分かるため)
規約共用部分
本来は専有部分だが、規約で「共用」と決めた場所
管理人室、集会室、トランクルーム用の101号室など 登記しなければならない
(登記しないと、第三者には専有部分に見えてしまうため)

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※共用部分の持分(自分のもっている割合)は、原則として「各専有部分の床面積(内法面積)の割合」で決まります。

注意ポイント
【注意ポイント】規約共用部分の「登記」は対抗要件

「管理人室(本来は専有部分)を規約共用部分とする」と決めた場合、その旨を登記しなければ第三者に対抗できません。試験では「登記は義務ではない」「登記しなくてもよい」という誤りの選択肢が頻出です。規約共用部分の登記は対抗要件として必須と覚えましょう。

重要ポイント
【重要ポイント】共用部分の持分・処分ルール
  • 共用部分の持分は、専有部分と一体としてのみ処分できます(単独売却は不可)。
  • 持分割合は規約で変えることができますが、変えない場合は床面積(内法面積)の割合が適用されます。
  • 共用部分の管理費用は持分割合に応じて各区分所有者が負担するのが原則です。

3管理組合と管理者のキホン

管理組合

区分所有者(マンションの部屋のオーナー)は、全員で自動的に管理組合を構成します。「私は組合に入りません」と脱退することはできません(強行規定)。

管理者(マンションの代表者)

管理組合の代表として実務を行うのが「管理者(いわゆる理事長)」です。

  • 選任: 集会の決議(普通決議=過半数)で選任・解任します。※規約で別の定めをすることも可能。
  • 資格: 区分所有者である必要はなく、誰でもなることができます(例:管理会社の社員や、賃借人でもOK)。
  • 設置義務: 管理者を置くことは義務ではありません。「置くことができる」というルールです。
  • 集会の招集義務: 管理者は少なくとも毎年1回は集会を招集しなければなりません。
重要ポイント
【重要ポイント】管理者の代理権と規約保管義務
  • 管理者は区分所有者全員のために、共用部分・建物・敷地の管理に関する裁判の原告または被告になることができます。
  • 管理者は規約・集会の議事録を保管する義務があります(管理者がいない場合は区分所有者またはその代理人が保管)。
  • 規約・議事録の閲覧は、利害関係人(区分所有者、賃借人など)から請求があれば正当理由なく拒否できません。
注意ポイント
【注意ポイント】区分所有者による集会招集請求

区分所有者の1/5以上かつ議決権の1/5以上を有する者は、管理者に対して集会の招集を請求できます。この「1/5」という定数は、規約で「減ずる(下げる)」ことしかできず、「引き上げる(増やす)」ことはできません。少数派の意見を守るための規定です。

4規約(マンション独自のルール)

ペットの飼育可否や楽器の演奏時間など、法律の範囲内でマンションごとに定める独自ルールを「規約」といいます。

規約の設定・変更・廃止

規約を作ったり変えたりするには、集会で「区分所有者および議決権の各3/4以上」の多数による特別決議が必要です。
※一部の人の権利に「特別の影響」を及ぼす変更(例:1階の店舗だけ管理費を2倍にする等)を行う場合は、その人の「承諾」が追加で必要になります。

頻出ひっかけ
最初の分譲業者による単独設定

原則は3/4の決議が必要ですが、最初にマンションを建てた人(ディベロッパー等)は、最初の部屋を売り出す前に限り、単独で「公正証書」によって特定の規約(規約共用部分の定め等)を設定することができます。

学習のコツ
【学習のコツ】規約の「保管場所」と「閲覧」を整理する

規約は管理者が保管(管理者がいない場合は集会で選ばれた者)し、建物内の見やすい場所に保管場所を掲示しなければなりません。区分所有者や利害関係人から閲覧請求があれば、正当理由なく拒否不可です。この「保管→掲示→閲覧」の流れを覚えると、ひっかけ問題に対応しやすくなります。

重要ポイント
【重要ポイント】規約で定められる代表的な事項
  • 規約共用部分・規約敷地の設定(第三者への対抗には登記が必要)
  • 共用部分の持分割合の変更(原則の床面積割合とは別の比率にできる)
  • 管理者の権限拡大・縮小、管理組合法人の成立
  • 集会招集通知の期間短縮(原則:1週間前、規約で伸縮可能)
  • 書面・電磁的方法による決議(全員の承諾が必要)

5【超重要】集会の決議要件(数字暗記)

マンションの重要事項は「集会」で決めます。重要度に応じて「過半数(普通)」「3/4以上(特別)」「4/5以上(建替え)」の3つのハードルが設定されています。この数字の組み合わせが毎年必ず試験で問われます!

決議要件のハードル
過半数 普通決議 ・管理者の選任 ・共用部分の「軽微」な変更 3/4 以上 特別決議 ・規約の設定、変更、廃止 ・共用部分の「重大」な変更 ・管理組合法人の設立 ・大規模滅失時の復旧 4/5 以上 建替え決議 建物を壊して 新しく建てる 🏢🔨 【法改正で緩和】 3/4 以上でOK 耐震不足など一定の 要件を満たす場合
【重要ポイント】決議要件まとめ一覧表
決議の種類 要件(区分所有者数 および 議決権) 規約による変更 対象事項の例
普通決議 各過半数 減ずることができる 管理者の選任・解任、共用部分の軽微な変更、小規模滅失時の復旧
特別決議 各3/4以上 減ずることができる
(規約で過半数に下げることも可)
規約の設定・変更・廃止、共用部分の重大な変更、管理組合法人の設立、大規模滅失後の復旧
建替え決議 各4/5以上
(一定要件下では各3/4以上)
変更不可 建物を取り壊して新たに建築する

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「および」か「または」かに注意!
これら集会の決議は、原則として「区分所有者の数(頭数)」と「議決権の数(床面積の割合)」の両方(=および)で要件を満たす必要があります。「4/5以上『または』4/5以上」というひっかけ選択肢に騙されないでください。
注意ポイント
【注意ポイント】「建替え決議」の要件は規約で変更できない

普通決議・特別決議は規約でその要件を「下げる」ことができますが、建替え決議の「各4/5以上」は規約によっても緩和することができません(ただし法改正による一定要件での3/4緩和は別途)。個人の財産権に直結するため、法律で最低ラインを厳守させているのです。

学習のコツ
【学習のコツ】集会の招集通知と議決権の代理行使

集会の招集通知は原則1週間前までに各区分所有者へ送る必要があります(規約で期間を伸縮可能)。また区分所有者は代理人を通じて議決権を行使することができます。書面・電磁的方法による決議(=全員の書面合意)も可能です。これらの「集会ルール」も試験で問われるので整理して押さえましょう。

6【最新法改正】老朽化マンション対策

区分所有法は、老朽化したマンションの建替え等をスムーズに進めるため、近年大きな法改正が行われました。本年度の試験で出題される可能性が非常に高い超重要ポイントです。

1. 建替え要件の緩和(4/5 → 3/4)

これまでのルールでは、マンションを建替えるには「各4/5以上」という非常に厳しい賛成が必要でした。しかし、これでは老朽化した危険なマンションがいつまでも放置されてしまいます。

耐震性不足外壁の剥落危険 など、一定の客観的要件を満たすマンションについては、
建替え決議のハードルが 「各4/5以上」から「各3/4以上」に緩和 されました!

※「一定の客観的要件」とは、国土交通省令で定められた耐震不足・外壁の剥落危険性・バリアフリー基準未達等を指します。

2. 所在等不明区分所有者の除外

マンションの決議は「全区分所有者の〇分の〇」で計算されます。つまり、連絡が取れない行方不明者がいると、その人は事実上の「反対票」として扱われてしまい、重要な決議が通らないという問題がありました。

行方不明者がいて決議が通らない事態を防ぐため、裁判所の決定 により、
行方不明者を 決議の母数(分母)から除外 できるようになりました!

※これにより、「賛成多数」の割合を満たしやすくなり、決議がスムーズに行えるという画期的な新ルールです。

注意ポイント
【注意ポイント】法改正の「3/4」は自動適用ではない

耐震性不足などの要件を満たすマンションでも、建替え決議を「3/4」で行うためには、あらかじめ一定の手続き(調査・認定等)が必要です。「要件さえ満たせば自動的に3/4になる」という誤りに注意しましょう。

重要ポイント
【重要ポイント】マンション敷地売却決議(各4/5以上)
  • 「マンション建替え円滑化法」に基づき、マンションごと土地を売却する「マンション敷地売却決議」も認められています。
  • こちらも区分所有者および議決権の各4/5以上の同意が必要です(建替え決議と同等の重さ)。
  • 耐震性不足等の一定要件を満たすマンションには、建替え同様に緩和措置が適用されます。

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