共 有

2026年(令和8年)10月本試験対応

持分の処分から分割請求まで!「変更・管理・保存」の違いと法改正を徹底マスター

1共有とは何か

共有とは、1つの物を複数人で共同して所有している状態を指します。重要なのは、家や土地が物理的にスパッと分けられているのではなく、「1つの物に対して、それぞれが割合(持分)を持っている」という概念です。

共有の典型例

父が亡くなり、自宅を子A・B・Cが相続した結果、Aが2分の1、Bが4分の1、Cが4分の1の割合(持分)で、一つの自宅を共有している場面です。

家は1つ(物理的には分かれていない) A 持分1/2 B 持分1/4 C 持分1/4
学習のコツ
【学習のコツ】「自分の持分」と「共有物全体」を完全に切り分ける!

共有の問題を解く上で最も重要な公式は、「自分の持分」は単独で自由に処分できるが、「共有物全体」に手出しするには他の共有者の同意や過半数が必要になる、ということです。宅建本試験では、この2つをわざと混同させる引っかけ問題(例:「自己の持分を売却するには他の共有者の同意が必要である」→×)が毎年出題されます。

2持分と使用のルール

共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができます。「Aが持分2分の1だから、家の左半分しか使えない」というわけではなく、家全体を使う権利がありますが、他の共有者の権利も尊重しなければなりません。

使用範囲
全部を使える

共有者は、物の一部に限定されず、共有物の全部について使用できます。ただし、自分の持分に応じた使い方が前提です。

超過使用の対価
使いすぎは対価を払う

1人が家を独占して住むなど、自己の持分を超える使用をすれば、他の共有者に対して対価(家賃相当額など)を償還する義務を負います。

注意義務
善管注意義務

共有物を使用する共有者は、自己の物以上に慎重に扱う、善良な管理者の注意(善管注意義務)をもって使用しなければなりません。

注意ポイント
【注意ポイント】一部共有者による独占使用と対価償還義務(令和5年施行改正)

長年、共有者の一人が実家を独占して住み続けているようなケースでトラブルが絶えませんでした。そこで民法改正により、「共有物を使用する共有者は、別段の合意がない限り、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う」こと、また「善良な管理者の注意をもって共有物を使用する義務」があることが、条文上明確に規定されました。

3変更・管理・保存の違い

共有に関する最重要テーマです。共有物全体に対して「何をしようとしているか」によって、単独でできるのか、過半数が必要か、全員の同意が必要かが厳密に分かれます。

変更(重大)
  • 原則:全員の同意
  • 建物の増改築・建て替え
  • 農地を宅地に造成
  • 共有物全体の売却
  • 共有物全体への抵当権設定
管理・軽微変更
  • 持分価格の過半数
  • 利用方法の決定(賃貸など)
  • 軽微な変更(砂利道舗装など)
  • 短期賃貸借の設定
  • 管理者の選任・解任
保存
  • 各共有者が単独でできる
  • 雨漏り防止の応急修繕
  • 不法占拠者への明渡請求
  • 無効な登記の抹消請求
分割
  • 各共有者がいつでも請求可
  • (※不分割特約は最長5年)
  • まずは協議で決める
  • 決裂すれば裁判所へ
「何をするか」で必要人数が変わる
共有物に何をする? 変更 著しい形状・効用変更 管理 利用・改良・軽微変更 保存 権利・現状維持 分割 共有関係の解消 全員 原則 持分価格の 過半数 単独 各共有者 いつでも 請求できる ※ 人数の過半数ではない点に注意!「持分価格」の過半数です。 ※ 建物3年・土地5年などの短期賃借権等の設定も「管理」
【重要ポイント】所在等不明共有者がいる場合の特則(令和5年施行)

共有者の中に「名前や住所がわからない(連絡がつかない)人」がいると、これまでは全員同意が必要な「変更」などが一切できず、不動産が放置される原因になっていました。そこで法改正により、裁判所の決定を得ることで、不明者を除いたメンバーで物事を進められるようになりました。

行為の性質 原則(通常時) 所在等不明共有者がいる場合
(※裁判所の決定を得た後)
変更(重大) 共有者全員の同意が必要 不明者以外の共有者全員の同意で可能
管理 持分価格の過半数が必要 不明者以外の共有者の持分価格の過半数で可能
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4持分処分と共有物分割

共有関係は、意見の対立などからトラブルになりやすい状態です。そこで民法は、各共有者にいつでも共有物の分割を請求できるという強い権利を与え、共有状態から抜け出す道を用意しています。

持分の処分
自分の持分だけを売る(単独OK)

自分の「2分の1の持分」だけを第三者に売ったり、抵当権を設定したりすることは単独で自由にできます。ただし、これを買うと買った人が新たな共有者として加わることになります。

共有物分割請求
共有状態そのものを解消する

各共有者はいつでも共有物の分割を請求できます。「5年以内の期間」を定めて不分割特約(分割しない約束)を結ぶことも可能ですが、更新する場合も最長5年以内です。

重要ポイント
【重要ポイント】分割協議の決裂と「全面的価格賠償」の明文化

共有物の分割は、まず当事者間の「協議(話し合い)」で行います。協議がまとまらない場合は裁判所に分割を請求します。裁判所による分割方法は以下の3パターンです。令和5年施行の改正により、②全面的価格賠償(1人がすべて取得し、他の人にお金を払う方法)が条文上に明記されました。

① 現物分割 土地を分筆するなど 物理的に形を分ける ② 賠償分割 1人が全てを取得し 他の人へ金銭を支払う ③ 競売 前2つで分けられない ときの補充手段 共有物分割の協議がまとまらない → 裁判所へ ※ 競売は、現物分割や賠償で適正に分けられないとき、または著しい価格低下の恐れがある場合に限られます。

5令和5年(2023年)施行の改正ポイントまとめ

宅建試験では法改正箇所が非常に狙われやすいです。所有者不明土地問題の解消などを目的とした、共有に関する主な見直しポイントを整理します。

軽微な変更は「過半数」に緩和

以前は「変更」といえば何でも全員同意のイメージでしたが、形状や効用の著しい変更を伴わない「軽微な変更」は管理行為の扱いとなり、持分価格の過半数で実行できるようになりました。

使用する共有者への「特別の影響」

管理事項は過半数で決められますが、その決定が「共有者間の事前の合意に基づいて共有物を使用している人」に特別の影響を及ぼすべきときは、その人の承諾が必要という保護ルールができました。

短期賃借権等の期間が明文化

全員の同意がなくとも、管理行為(持分過半数)として設定できる賃借権の期間上限が明記されました。(山林10年、その他土地5年、建物3年、動産6か月)

共有物の「管理者」制度

持分価格の過半数で、共有物の「管理者」を選任・解任できるようになりました。選任された管理者は、共有者に代わって管理行為等を行う権限を持ちます。

6宅建でのひっかけ整理

まずこの3本を絶対に固定する
  1. 変更(重大) = 全員同意。 ※ただし軽微なら管理へ。
  2. 管理 = 持分価格の過半数。 ※人数(頭数)の過半数ではない!
  3. 保存 = 各自が単独でできる。 ※全員同意とひっかけられやすい。
よくある誤りの選択肢(×)正しい整理(○)
管理事項は、共有者の「人数」の過半数で決定する。人数の過半数ではなく、「持分価格」の過半数で決める。持分が多い人の意見が強くなる。
各共有者は、他の共有者全員の同意がなければ共有物の分割を請求できない。各共有者は、原則としていつでも単独で共有物の分割を請求することができる。
自己の持分を第三者に売却するには、他の共有者の同意が必要である。自己の持分の処分は、他の共有者の同意なく単独で自由に行うことができる
共有物の性質を変更する行為は、いかなる場合でも共有者全員の同意が必要である。形状や効用の著しい変更を伴わない「軽微な変更」は管理行為とみなされ、過半数で実行できる。
所在不明の共有者がいる場合、共有物全体の売却は不可能である。裁判所の決定を得れば、不明者を除いた他の共有者全員の同意で売却(変更)が可能になる。
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