定義→面積→目的→手続き→建築制限──「5ステップ判定法」で毎年の1問を確実にもぎ取る!
1そもそも「開発許可」って何?
山を切り崩したり、田んぼを埋め立てたりして、新しく建物を建てるための土地を作る。これを無許可で勝手にやらせてしまうと、土砂崩れが起きたり、下水道が未整備な無秩序な街になってしまいます。
そこで、一定規模以上の土地づくり(開発行為)をする場合には、事前に都道府県知事(指定都市等ではその長)の許可をもらわなければならないというルールが作られました。これが開発許可制度です。
【学習のコツ】「2段階判定法」で攻略する
宅建試験の開発許可の問題は、「このケースは許可が必要か?」を判定させる問題が9割です。「① そもそも開発行為に当たるか?」「② 目的や面積の例外で許可不要にならないか?」の2段階で考えるのが攻略の近道です。このフレームワークを常に意識しましょう。
2【重要】「開発行為」の定義を深掘り
何でもかんでも許可が必要なわけではありません。法律上の「開発行為」とは、以下の「目的」と「行為」がセットになったものを言います。
土地の区画形質の変更
「土地の区画形質の変更」とは?
この言葉は試験で頻出ですが、具体的には以下の3パターンのいずれかを指します。
- 【区画】の変更: 新しく道路を作って土地を分割するなど、物理的な境界を変えること。
※単に図面上で線を引いて土地を分ける(分筆)だけでは、開発行為にはなりません! - 【形】の変更: 山を削る(切土)や、谷を埋める(盛土)など、土地の起伏を変えること。
- 【質】の変更: 農地や山林を「宅地」に変更するなど、土地の性質を変えること。
【注意ポイント】「建物を建てるだけ」は開発行為にならない
すでに造成されている平坦な宅地に、ただ「建物を建てるだけ」の場合は、区画形質の変更を伴わないため、開発行為には当たりません(=開発許可は不要)。また、建築物ではない「駐車場」や「資材置き場」を目的とする区画形質の変更も、建築物の建築を目的としないため開発行為に該当しません。
「特定工作物」の罠(ゴルフ場と野球場)
「建物」ではなくても、特定の巨大な施設(特定工作物)を作るために土地をいじる場合は、開発行為になります。この分類が試験で激しく狙われます。
第一種特定工作物
コンクリートプラント、アスファルトプラントなど、周辺環境を悪化させるおそれがある施設。
第二種特定工作物
野球場、遊園地、動物園、墓園など、大規模なレジャー施設等。
★例外:ゴルフコースは面積にかかわらず常に該当!
【重要ポイント】特定工作物に該当「しない」もの
道路、鉄道、河川などの公共施設は特定工作物に含まれません。また、テニスコート、プールなども第二種特定工作物には列挙されていないため、面積がいくら大きくても特定工作物には該当しません。試験では「テニスコート15,000㎡の建設は開発行為に当たる」(×)のような引っかけが出ることがあります。
3開発許可が不要になる「目的の例外」
開発行為に該当しても、その「目的(何を作るか)」によっては、例外的に開発許可は不要となります。試験で最も引っかけられる部分です。
公益上必要な建物
駅舎、図書館、公民館、変電所など、公益性が極めて高いものは特例で許可不要です。
(=原則通り許可が必要)
農林漁業の特例
農林漁業用の建物(牛舎や温室など)や、農林漁業を営む者の住宅は許可不要です。
(=市街化区域なら面積で判定する)
なぜ市街化区域だけ農家の特例がないの?
市街化区域は「ドンドン街にしよう!」というエリアです。そこに牛舎やビニールハウスが建つと街づくりの邪魔になるため、農家であっても優遇されず、原則通りの厳しい許可制になります。
【重要ポイント】その他の許可不要行為
- 都市計画事業の施行として行う開発行為
- 土地区画整理事業の施行として行う開発行為
- 市街地再開発事業の施行として行う開発行為
- 非常災害のため必要な応急措置として行う開発行為
- 通常の管理行為、軽易な行為
4開発許可が不要になる「面積の例外」
目的の例外に当てはまらなくても、開発の規模が小さければ(小規模開発)、やはり許可は不要となります。ただし、その基準面積は「どの区域で開発するか」によって異なります。
| 開発を行う区域 | 面積要件(これ【未満】なら許可不要) |
|---|---|
| 市街化区域 | 1,000㎡ 未満 |
| 市街化調整区域 | 面積の例外なし (1㎡でも許可必要) |
| 非線引き区域・準都市計画区域 | 3,000㎡ 未満 |
| 都市計画区域「外」 | 10,000㎡ 未満 |
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【注意ポイント】市街化調整区域には面積の例外がない
市街化調整区域は「街にしない」と決められたエリアです。そのため、たとえ100㎡の小さな開発であっても開発許可が必要です(目的の例外に該当しない限り)。試験では「市街化調整区域内で500㎡の開発は許可不要」という引っかけが出ますが、答えは×です。
【重要ポイント】市街化区域の1,000㎡は「条例で引下げ」可能
市街化区域の面積基準1,000㎡は、都道府県等の条例により300㎡まで引き下げることができます。つまり、条例が定められている区域では、300㎡以上の開発行為に許可が必要となる場合もあります。反対に、1,000㎡を「引き上げる」ことはできません。
5開発許可の「申請〜許可」の手続き
開発許可が必要だと判定された場合、知事に申請を出さなければなりません。この「手続きのルール」も頻出です。
① 申請前の「同意」と「協議」
開発許可を申請する前に、以下の手続きを済ませておく必要があります。
- 公共施設(道路など)の管理者との「協議」と「同意」
- 新たに設置される公共施設を管理することになる者との「協議」
- 開発区域内の土地等の権利者(開発の妨げになる権利を持つ者)の「相当数の同意」。
※「全員の同意が必要」はよくある引っかけ(誤り)です。
② 許可・不許可の通知と開発登録簿
- 知事は、許可・不許可の処分をしたときは、遅滞なく申請者に書面で通知します。
- 許可をしたときは、その内容を「開発登録簿」に登録します。この登録簿は誰でも(利害関係がなくても)閲覧でき、写しの交付を請求できます。
③ 許可を受けた地位の「承継」
開発許可を受けた人が途中で変わる場合、その許可の効力を引き継げるでしょうか?
- 一般承継(相続・合併など): 当然に(自動的に)承継します。知事の承認は不要です。
- 特定承継(土地を買って引き継ぐなど): 知事の承認を受けなければ承継できません。
【注意ポイント】許可の基準は市街化調整区域で「上乗せ」される
開発許可の基準には、すべての区域に適用される「技術基準(33条基準)」と、市街化調整区域にのみ適用される「立地基準(34条基準)」の2種類があります。市街化調整区域では両方の基準を満たさなければ許可されません。つまり、市街化調整区域は許可のハードルが最も高いエリアです。
【重要ポイント】不許可処分に不服がある場合
開発許可を拒否された申請者は、開発審査会に対して審査請求をすることができます。さらに、開発審査会の裁決に不服がある場合は裁判所に訴訟を提起できます。なお、裁判所への出訴は、開発審査会の裁決を経た後でなければなりません(審査請求前置主義)。
6工事中・完了後の厳しい建築制限
無事に開発許可を取り、工事が始まりました。しかし、開発行為の最中や終わった後にも、勝手なことをさせないための「建築制限」が課せられます。
工事完了「前」の制限
原則:建物を建築してはならない
- 工事用の仮設建築物を建てるとき
- 都道府県知事が支障がないと認めたとき
- 開発行為に同意しなかった者が、自分の権利の行使として建てるとき
工事完了「後」の制限
原則:予定外の建物を建築してはならない
- 都道府県知事が許可したとき
- 用途地域が定められているエリアの場合
(※用途地域のルールが優先されるため、用途地域に合っていれば知事の許可は不要!)
【重要ポイント】工事完了の検査と公告
開発行為の工事が完了したら、開発者は都道府県知事に工事完了を届け出なければなりません。届出を受けた知事は、工事が開発許可の内容に適合しているかを検査し、適合していると認めたときは検査済証を交付し、工事完了の公告を行います。工事完了の公告があるまでは、原則として開発区域内の土地に建築物を建築することはできません。
【注意ポイント】市街化調整区域の「開発許可を受けていない土地」の制限(43条)
市街化調整区域のうち、開発許可を受けた区域以外の区域でも、建築物の新築・改築・用途変更をするには都道府県知事の許可が必要です(43条許可)。市街化調整区域は「街にしない」区域なので、開発許可を受けていない場所での建築も原則として規制されています。
【学習のコツ】建築制限は「時系列」で整理する
建築制限は「工事完了公告の前」と「工事完了公告の後」で内容が異なります。公告前→原則建築禁止(仮設等は例外)、公告後→予定外の建築禁止(用途地域ありなら例外)──このように時系列で「Before / After」を整理すると、正確に判断できるようになります。
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