誰がいくら払う?絶対効・相対効のルールから保証特有の仕組みまで一挙にマスター!
1そもそも「連帯債務」「保証」って何?
お金を貸す側(債権者)の最大の懸念は「貸したお金が返ってこないこと(貸し倒れ)」です。それを防ぐために、債務者(お金を借りた人)以外の人物に返済義務を負わせる仕組みを「人的担保」と呼びます。その代表例が「保証(連帯保証)」と「連帯債務」です。
保証(連帯保証)
主たる債務者(本来お金を借りた本人)が返済できない場合に、代わりに返済する約束をした人が「保証人」です。あくまで「本人が第一、自分は予備」という関係性からスタートします。
連帯債務
複数人が共同でお金を借り、それぞれが「自分も全額返す義務を負う」と約束する関係です。メンバーの誰か一人が全額を返済すれば、他のメンバーの借金も消滅します。
2保証債務の基本ルール(3つの性質)
まずは「保証」という制度の根幹をなす3つの性質をしっかりと理解しましょう。この原則を理解することが、後述する連帯保証との違いをマスターする鍵になります。
① 付従性(ふじゅうせい)
「運命共同体」の性質です。主たる債務(本人の借金)が成立しなければ保証債務も成立せず、本人が全額返済すれば保証人の義務も自動的に消滅します。
② 随伴性(ずいはんせい)
「くっついていく」性質です。債権者(貸し手)が債権を別の誰かに譲り渡した場合、保証人もその新しい債権者にくっついて移動し、引き続き保証を続けることになります。
③ 補充性(ほじゅうせい)
「あくまで自分はサブである」という性質です。本人が返せないときだけ代わりに返すため、普通の保証人には債権者の請求を一旦拒絶できる強力な権利(抗弁権)が認められています。
【重要ポイント】保証契約は必ず「書面」で行う!
保証人になるということは、他人の借金を背負う非常に重い責任を伴います。そのため、口頭で「私が保証人になります」と約束しても、法律上その契約は無効です。保証契約は、必ず書面(または電磁的記録)で作成しなければ効力を生じません。試験でも頻出の基本ルールです。
3普通の保証 vs 連帯保証(絶対に出る!)
宅建試験の権利関係において、最も出題されやすいのが「普通の保証」と「連帯保証」のルールの違いです。結論から言えば、連帯保証人には「補充性」がありません。
つまり、連帯保証人は「まずは本人に請求してくれ」と言って逃げる権利を持たず、実質的にお金を借りた本人とほぼ同じ責任を負うことになります。
【学習のコツ】普通の保証人と連帯保証人の権利の違い
以下の表を使って「普通の保証人にはあるが、連帯保証人にはない権利」を整理しましょう。連帯保証人は、債権者にとって非常に都合の良い強力な担保となるため、世の中の保証契約の大多数が連帯保証になっています。
| 権利・特徴 | 普通の保証人 | 連帯保証人 |
|---|---|---|
|
催告の抗弁権 (まずは本人に請求してくれ!と拒む権利) |
ある | ない |
|
検索の抗弁権 (本人に財産があるから、先にそっちを差し押さえてくれ!と拒む権利) |
ある | ない |
|
分別の利益 (保証人が複数いる場合、頭数で割った金額だけ払えばいいというルール) |
ある 例:1000万を2人で保証したら500万ずつ |
ない 例:何人いようが各自が1000万全額の義務 |
※連帯保証人は、「催告」「検索」「分別」の3つの権利が全て「ない」と暗記しましょう!
4連帯債務の基本と「絶対効・相対効」
連帯債務とは、複数人が共同でお金を借り、それぞれが「全額を返す義務」を負う制度です。債権者は、誰か一人に対して全額を請求してもよいし、全員に同時に請求しても構いません。
1人に生じた事由の効力(絶対効と相対効)
連帯債務者のうちの1人に何か出来事が起こったとき、それが他の連帯債務者にも影響を及ぼすかどうか、という宅建屈指の頻出テーマです。
絶対効(ぜったいこう)
1人に生じた事由が、他の連帯債務者にも影響を及ぼすもの。
例:Aが全額「弁済」して借金を返せば、当然B・Cの借金も消滅します。
相対効(そうたいこう)
1人に生じた事由が、他の連帯債務者には影響しない(その人だけの話で終わる)もの。
例:債権者がAに対してだけ「免除(借金をチャラ)」をしても、B・Cの借金は1円も減りません。
【注意ポイント】法改正により「絶対効」は激減している!
以前の民法では「免除」や「時効の完成」なども絶対効に含まれていましたが、2020年の民法改正により、これらはすべて原則として「相対効」に変更されました。現在、連帯債務における絶対効として覚えるべきは「更改」「相殺」「混同」(および弁済・代物弁済など債務を消滅させる行為)のみです。「コウ・ソウ・コンは絶対効」と丸暗記してしまいましょう。
5【重要】連帯債務の求償権と通知のルール
連帯債務者の1人(例えばAさん)が、自分の負担部分を超えて債権者に借金を返済した場合、他の連帯債務者(Bさん・Cさん)に対して「君たちの分も払っておいたから清算してくれ」と請求することができます。これを求償権(きゅうしょうけん)と呼びます。
しかし、この求償権を行使するにあたっては、「事前の通知」と「事後の通知」という厳格なルールが存在します。
【重要ポイント】通知を怠った場合のペナルティ
- 「事前」の通知を怠った場合:
Aが「今から返すよ」と事前に通知せずに返済した場合。もしBが債権者に対して相殺できる権利を持っていたなら、Bは「事前に言ってくれれば相殺できたのに!」と主張し、Aからの求償を拒むことができます。 - 「事後」の通知を怠った場合:
Aが返済した後に「返しておいたよ」と通知しなかった場合。何も知らないBが債権者に二重に返済してしまったら、後から返済したBの行為が有効とみなされ、AはBに対して求償できなくなってしまいます。
※なお、この事前・事後の通知ルールは、連帯保証人が返済して主たる債務者に求償する場合にも全く同じように適用されます。
6民法改正による保証人保護の超重要ポイント
個人の保証人が、予想外の多額の借金を背負わされて破産してしまう悲劇を防ぐため、近年の民法改正で「保証人の保護」が大幅に強化されました。本試験でも非常に狙われやすいポイントです。
「根保証(ねほしょう)」とは、将来発生する不特定の借金(賃貸アパートの家賃滞納など)をまとめて保証する契約です。
※書面(または電磁的記録)で明確に「〇〇万円まで」と決めなければならず、口頭での合意は認められません。
他人の「事業用」の借金の保証人になる場合、情に流されて安易にハンコを押してしまうのを防ぐための厳格なルールです。
※ただし、保証人が「会社の取締役」や「主たる債務者の配偶者(共同事業者)」などの場合は、事業と密接な関係があるため公正証書は不要です。
【注意ポイント】保証人に対する「情報提供義務」
保証人を保護するため、主たる債務者や債権者には以下のような情報提供義務が課せられています。これも改正による重要ポイントです。
- 主たる債務者からの情報提供:事業用融資の保証を他人に委託する場合、自身の財産や収支状況を正確に情報提供しなければなりません。
- 債権者からの情報提供(履行状況):保証人から請求があった場合、債権者は「本人がいくら返済し、いくら残っているか」を遅滞なく回答する義務があります。
- 期限の利益喪失の通知:本人が支払いを遅滞し、分割払いの権利を失って一括請求される状態になった場合、債権者は2ヶ月以内に保証人に通知しなければなりません。
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