公告の規制

2026年(令和8年)10月本試験対応

「損害なくてもアウト」「申請中でもダメ」「注文時も再明示」──3つの罠を制して確実に得点!

1広告に関する3つの大原則

不動産の広告(チラシやWebサイトなど)は、お客さんが物件を選ぶための最初の入り口です。ここでウソをついたり、お客さんを惑わしたりすると大問題になります。
そのため、宅建業法では広告について以下の3つの大きな規制を設けています。

① 誇大広告の禁止

ウソの表示や、大げさな表現(著しく事実に相違する表示など)で客を釣ってはいけないというルール。

② 広告開始時期の制限

まだ建築確認等の許可が下りていない「未完成の物件」は、許可が下りるまで広告を出してはいけないというルール。

③ 取引態様の明示

業者が「売主」なのか「代理」なのか「媒介(仲介)」なのかの立場を、広告の時点でハッキリさせなさいというルール。

学習のコツ
【学習のコツ】広告の規制は「3本柱+1」で覚える

広告の規制は「①誇大広告の禁止」「②広告開始時期の制限」「③取引態様の明示」の3本柱に加え、「④契約締結時期の制限」を比較セットで覚えるのが効率的です。特に②と④は「広告の制限」と「契約の制限」を対比する形で出題されることが多いため、常にセットで整理しておきましょう。

重要ポイント
【重要ポイント】広告の規制は「宅建業者」に適用される

広告の規制が適用されるのは宅建業者です。宅建業者でない一般の売主(自分の家を売る個人など)がネットに広告を出しても、宅建業法の誇大広告禁止規定には違反しません。ただし、宅建業者がその一般人から媒介を依頼され、業者として広告を出す場合は当然に規制対象となります。また、広告の規制は「自ら売主」の場合だけでなく、媒介・代理の場合でも適用される点も重要です。

2誇大広告等の禁止(おとり広告)

「駅から徒歩1分!(実際は10分)」「絶対に値上がりします!」といった、事実に反する広告や大げさな広告は誇大広告として禁止されています。

誇大広告の厳しい要件
事実に反していなくてもNG!
たとえウソ(事実に相違)を書いていなくても、「著しく優良・有利であると誤認させるような表示」をした時点で違反になります。
損害が発生していなくてもNG!
その広告を見て実際に契約した人がいなくても、誰も実害を受けていなくても、「広告を出した時点」で違反になります。
【重要ポイント】誇大広告で禁止される表示事項

誇大広告等の禁止は、以下の事項について著しく事実に相違する表示や、実際よりも著しく優良・有利であると誤認させるような表示をすることを禁止しています。

  • 所在・規模・形質(物件の位置、広さ、地形、構造など)
  • 現在または将来の利用制限(用途地域、建ぺい率、容積率など)
  • 現在または将来の環境(日照、騒音、近隣施設など)
  • 現在または将来の交通その他の利便(駅からの距離、バスの便など)
  • 代金・借賃等の対価の額やその支払方法
  • 代金・交換差金に関する金銭の貸借のあっせん(ローン条件など)

「おとり広告」も誇大広告の一種

存在しない物件や、売る気のない優良物件を広告に載せて客を集め、別の物件を売りつける手法をおとり広告と呼びます。これも誇大広告として厳しく禁止されています。

  • ・実在しない物件の広告
  • ・実在するが、すでに売約済みで取引できない物件の広告
  • ・実在するが、そもそも売る意思がない物件の広告
注意ポイント
【注意ポイント】誇大広告の罰則は重い

誇大広告の禁止に違反した場合、監督処分(指示処分・業務停止処分)の対象となるほか、6ヶ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金(またはこれの併科)という刑事罰も科される可能性があります。さらに、宅建業法だけでなく不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)にも違反となる場合があります。

3広告開始時期の制限(未完成物件の罠)

「マンションを建てます!」と広告を出して客を集めたのに、その後役所から「そこにマンションを建ててはダメ」と許可が下りなかったら、広告を見て楽しみにしていたお客さんは大迷惑です。

未完成物件の広告開始時期
宅地の造成や建物の建築に関する
「開発許可」や「建築確認」等があった【後】
でなければ、広告をしてはならない!

※許可が下りる「前」に広告を出すのは、一切禁止です。

注意ポイント
【注意ポイント】「申請中」でも絶対NG

「現在、建築確認を申請中(手続中)であり、近日中に確認が下りる見込みである旨を明示すれば、広告をすることができる」→ ×(誤り)です。 見込みがあっても、許可が下りるまでは絶対に広告できません。「申請中」「許可見込み」という表現が問題文にあったら、即座に×と判断しましょう。

重要ポイント
【重要ポイント】「許可等」に含まれるもの

広告開始時期の制限で求められる「許可等」とは、具体的には開発許可(都市計画法29条)建築確認(建築基準法6条1項)宅地造成等に関する工事の許可などが含まれます。これらの処分があった後でなければ広告を出せません。なお、この制限は自ら売主の場合だけでなく、媒介・代理の場合にも適用されます。

注意ポイント
【注意ポイント】「広告」は広い意味で解釈される

ここでいう「広告」は、新聞折込チラシ、インターネット広告(ポータルサイト・SNS・自社HP)、看板、パンフレット、ダイレクトメールなど、媒体の種類を問わずすべてが含まれます。「チラシは出していないがインターネットに掲載した」場合でも当然に広告に該当します。

4取引態様の明示義務

広告に載っている不動産屋が、その物件の「売主」なのか、それとも「仲介(媒介)」をしているだけなのか。それによって、お客さんが払う「仲介手数料」が発生するかどうかが変わります

お客さんが後から「えっ、仲介手数料とられるの!?」とトラブルにならないよう、業者は自分の立場(取引態様)をしっかり明示しなければなりません。

① 広告をするとき

広告を出すときは、必ずその広告の中で、自分が「売主」「貸主」「代理」「媒介」のいずれの立場であるかを明示しなければなりません。

② 注文を受けたとき

広告を見てお客さんから「この物件買いたいです!」と注文(申込み)を受けたときも、改めて遅滞なく取引態様を明示しなければなりません。

広告で明示していても、注文時に再度明示が必要です!
(※「広告で明示していれば、注文時に改めて明示する必要はない」という問題は×です)
注意ポイント
【注意ポイント】明示の方法に制限はない

取引態様の明示は、書面でも口頭でもOKです。法律上は明示の方法について特に指定がありません。ただし、広告をする場合は当然その広告媒体の中に記載する形になります。試験では「取引態様の明示は書面で行わなければならない」という引っかけが出ることがあります(答えは×)。

重要ポイント
【重要ポイント】取引態様が変わったら再度明示

当初は「媒介」として広告していた業者が、その後売主から物件を買い取り「自ら売主」に立場が変わった場合、取引態様が変更されているため改めて明示し直す必要があります。また、取引態様の明示義務は宅建業者に対して課されるルールであり、宅建士に対する義務ではない点にも注意しましょう。

5【比較】契約締結時期の制限(広告との違い)

先ほど「未完成物件の広告」は許可後でなければならないと学びましたが、では「未完成物件の契約」はどうでしょうか?

行為 売買・交換 貸借
広告の開始時期 許可等の「後」でなければならない
(売買でも貸借でも、許可前は広告不可)
契約の締結時期 許可等の「後」でなければならない
(※広告と同じルール)
許可等の「前」でも契約できる!

◁ 横スライド ▷

なぜ貸借だけ許可前に「契約」できるの?
売買と違って、賃貸(アパートを借りるなど)なら、もし許可が下りずに建物が建たなかったとしても「お金(家賃)を払わなくて済む」「別の部屋を探せばいい」だけで済み、お客さんの金銭的なダメージが少ないからです。(※ただし、広告は貸借でも許可前はNGです。見込み客を集める行為自体が禁止されています)

注意ポイント
【注意ポイント】「広告=すべてNG」「契約=貸借だけOK」の区別

最も引っかけが多いパターンは、「貸借の広告は許可前でもできる」(×:広告はすべてNG)と、「貸借の契約は許可前にはできない」(×:貸借の契約は許可前でもOK)のすり替えです。「広告は全面禁止」「契約は貸借だけ例外」──この区別を正確に覚えましょう。

学習のコツ
【学習のコツ】「広告」と「契約」の規制を対比で整理する

広告の規制は、「①誇大広告の禁止」「②広告開始時期の制限」「③取引態様の明示」の3つを幹として覚え、さらに「④契約締結時期の制限」を②との比較で押さえるのが王道です。②と④の違いは「貸借の契約のみ例外」という一点だけ。この一点が試験で繰り返し狙われるため、表にまとめて頭に焼き付けましょう。

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