8種制限

2026年(令和8年)10月本試験対応

手付金2割・クーリングオフ・保全措置…「数字」と「例外」を一気に整理して得点源にする!

1「8種制限」が適用される条件

不動産の取引において、プロである「宅建業者」と素人である「一般のお客さん」が直接契約をすると、知識の差からお客さんが不利になりがちです。
そこで宅建業法は、一般のお客さんを守るために「8つの厳しい特別ルール(8種制限)」を設けています。

【絶対条件】8種制限が発動する取引とは?

以下の条件を すべて 満たす場合のみ適用されます!

売 主
宅建業者
(自ら売主となる場合)
買 主
宅建業者【以外】の者
(素人のお客さん)
注意ポイント
【注意ポイント】宅建試験の「最大の引っかけ」

問題文に「宅建業者Aが、宅建業者Bに売却し…」とあったら、その時点で8種制限のルールは一切適用されません(プロ同士だから)。「買主が業者である場合も手付金は2割を超えてはならない」→ ×(いくらでもOK)、というように瞬殺できる問題が多発します。試験では「売主」と「買主」の立場を真っ先にチェックする癖をつけましょう。

学習のコツ
【学習のコツ】8種制限は「数字」で攻略する

8種制限は覚えるべき数字が多く、混乱しやすいテーマです。「手付金=2割」「損害賠償の予定=2割」「保全措置=5%/10%・1,000万円」「クーリングオフ=8日」「割賦販売の催告=30日」「所有権留保=3割」──これらの数字をセットで整理し、「どの場面でどの数字が出てくるか」を横断的に押さえるのが得点への近道です。

【重要ポイント】8種制限の全体像を把握する

8種制限とは具体的に以下の8つのルールを指します。

  1. クーリング・オフ(事務所等以外の場所での契約を白紙に戻せる制度)
  2. 手付金の額の制限(代金の2割まで)
  3. 手付金等の保全措置(一定額を超える場合に銀行等に預ける義務)
  4. 損害賠償額の予定等の制限(合計で代金の2割まで)
  5. 契約不適合責任の特約制限(買主に不利な特約は原則無効)
  6. 他人物売買の制限(自己所有でない物件の売買は原則禁止)
  7. 割賦販売の契約解除等の制限(30日以上の催告が必要)
  8. 所有権留保等の禁止(原則として引渡し前に登記移転が必要)

2クーリング・オフ(契約の解除)

「喫茶店で強引に勧誘されて、つい家を買う契約をしてしまった…」
このように、冷静な判断ができない場所で契約してしまった買主を救済するため、無条件で契約を白紙に戻せるのがクーリング・オフ制度です。

① クーリング・オフができる「場所」の要件

契約を申し込んだり締結したりした「場所」によって、クーリング・オフができるかどうかが決まります。

クーリング・オフができる場所・できない場所
クーリング・オフ【できない】
(買主が冷静に判断できた場所)
  • 宅建業者の事務所(本店・支店)
  • 専任の宅建士がいる案内所等
    ※モデルルームや分譲マンションの現地など
  • 買主が自ら指定した自宅・勤務先
    ※業者が「ご自宅に行きますよ」と言った場合は対象外
クーリング・オフ【できる】
(雰囲気に流されやすい場所)
  • 喫茶店、レストラン、ホテルのロビー
  • テント張りの案内所
    ※専任の宅建士がいても、テント張り等はクーリングオフ可能!
  • 自ら指定していない自宅・勤務先
注意ポイント
【注意ポイント】「申込み場所」と「契約場所」が異なる場合

クーリング・オフの可否は、「買受けの申込み」をした場所で判定します。契約の締結場所ではありません。たとえば「喫茶店で申込み → 後日、事務所で契約」の場合、申込み場所である喫茶店を基準にするため、クーリング・オフはできます。試験では「申込みの場所」と「契約の場所」を入れ替えた引っかけが頻出です。

② クーリング・オフができなくなる「時期・状況」

場所の要件を満たしていても、以下の場合はクーリング・オフができなくなります。

  • 書面でクーリング・オフできる旨を告げられた日から起算して、8日が経過したとき。
  • 物件の引渡しを受け、かつ、代金の全額を支払ったとき。

※クーリング・オフをする場合、買主は「書面(内容証明郵便など)」で業者に通知する必要があります(口頭では無効)。書面を発した時に効力が生じます(発信主義)。

重要ポイント
【重要ポイント】クーリング・オフの効果
  • クーリング・オフが行われると、業者は受領済みの手付金等を速やかに返還しなければなりません。
  • 業者は、クーリング・オフに伴う損害賠償や違約金を請求することはできません
  • クーリング・オフについて、買主に不利な特約をしても無効となります(たとえば「クーリング・オフは認めない」という特約は無効)。
  • 告知の書面が交付されていない場合は、8日間の起算点が始まらないため、いつまでもクーリング・オフが可能です。ただし引渡し+代金全額支払い後はできなくなります。

3手付金の制限(2割)と保全措置

契約の証拠として払う「手付金」を、倒産した業者が持ち逃げするのを防ぐルールです。

① 手付金の額の制限(2割ルール)

宅建業者が自ら売主となる場合、手付金の額は、

代金の「2割(20%)」を超えてはならない!

※2割を超える特約は、2割を超える部分についてのみ無効(全額無効ではない)となります。また、手付金は常に「解約手付(理由がなくても手付を放棄すれば解約できる)」としての性質を持ちます。

重要ポイント
【重要ポイント】手付金は常に「解約手付」

宅建業者が自ら売主となる場合、受け取った手付金は必ず「解約手付」として扱われます。つまり、買主は手付を放棄すれば、また売主(業者)は手付の倍額を現実に提供すれば、相手方が契約の履行に着手するまでは契約を解除できます。「手付金を違約手付とする」「証約手付とする」といった特約は買主に不利であるため無効です。

② 手付金等の保全措置(銀行等に守ってもらう)

業者が受け取った手付金等を、銀行や保証協会に預けて「倒産しても買主に返せる状態」にしておく義務のことです。未完成物件と完成物件で基準が異なります。

保全措置が必要になる基準(%と金額)
工事完了「前」 (未完成物件)
代金の 5% を超える
または
1,000万円 を超える

※未完成のほうが持ち逃げリスクが高いため、厳しい基準(5%)になっている。

工事完了「後」 (完成物件)
代金の 10% を超える
または
1,000万円 を超える
保全措置が【不要】になる例外(超重要)
買主が「所有権移転の登記」をした後 は、所有権が確定しているため保全措置は不要になる!
注意ポイント
【注意ポイント】保全措置の「方法」は未完成と完成で異なる

未完成物件では「銀行等による保証」または「保険事業者による保証保険」の2種類しか使えません。完成物件ではこの2つに加えて「指定保管機関(保証協会)による保管」も利用可能です。未完成物件で「指定保管機関による保管」が使えない理由は、完成していない物件に保管を行うリスクが高いためです。この違いは試験でよく狙われます。

【重要ポイント】「手付金等」に含まれる金銭の範囲

保全措置の対象となる「手付金」とは、手付金だけでなく、契約の締結日以降・引渡し前に支払われる金銭(中間金、内金など名目を問わない)の合計額を指します。したがって、手付金が基準以下であっても、中間金を加えた合計額が基準を超える場合は、超える前に保全措置を講じなければなりません。

4損害賠償額の予定等の制限(2割)

買主が契約違反をした場合、業者は「違約金」などを請求できます。しかし、その金額が法外だと買主がかわいそうなため、ここでも「2割」という上限があります。

損害賠償の予定額と違約金の「合計額」は、

代金の「2割(20%)」を超えてはならない!

※2割を超える特約をした場合、2割を超える部分のみ無効となります。また、実際に生じた損害が2割を超えていたとしても、特約で2割と定めていればそれ以上は請求できません。

注意ポイント
【注意ポイント】「手付金の2割」と「損害賠償の2割」は別のルール

手付金の額の制限(代金の2割まで)と、損害賠償額の予定等の制限(代金の2割まで)は、どちらも「2割」ですがまったく別のルールです。手付金は「契約の担保としての金銭の上限」であり、損害賠償の予定は「契約違反時のペナルティの上限」です。試験では両者を混同させる引っかけが多く出ます。

重要ポイント
【重要ポイント】予定額の「定めがない場合」の取扱い

損害賠償の予定額を特約で定めなかった場合は、この制限の規定は適用されません。その場合、業者は実際に発生した損害額を立証して請求する必要があります。逆に「予定額+違約金の合計が2割以内」の特約であれば、実際の損害額がいくらかに関係なく、その予定額のみを請求できます。

5契約不適合責任と他人物売買の制限

物件の欠陥に関する責任や、他人の土地を勝手に売る行為に対する厳格なルールです。

① 契約不適合責任の特約の制限

引き渡した物件の「種類」や「品質」が契約内容と合っていなかった(雨漏りやシロアリなど)場合、売主が責任を負うルールのことです。

原則:民法より買主に不利な特約は「無効」

民法では、買主は不適合を「知った時から1年以内」に通知すればよいとされています。これより買主に不利な特約(例:引渡しから1年とするなど)はすべて無効となり、民法の原則に戻ります。

例外:唯一認められる「特約」

業者が責任を負う期間を 引渡しの日から 2年以上 とする特約だけは、買主に不利であっても有効と認められます。

注意ポイント
【注意ポイント】「知った時から1年」と「引渡しから2年」を混同しない

民法上の原則は「不適合を知った時から1年以内に通知」ですが、8種制限で唯一認められる特約は「引渡しの日から2年以上」です。起算点が「知った時」と「引渡しの日」で異なる点に注意してください。「引渡しの日から1年」や「知った時から2年」とする特約は、民法より買主に不利になり得るため無効です。

重要ポイント
【重要ポイント】買主の権利(追完・代金減額・損害賠償・解除)

契約不適合があった場合、買主には①追完請求権(修補や代替物の引渡し)、②代金減額請求権、③損害賠償請求権、④契約の解除権という4つの救済手段があります。8種制限の下では、これらの権利を制限して買主に不利にする特約は無効です(引渡しから2年以上の期間制限の特約を除く)。

② 自己の所有に属しない宅地建物の売買の制限(他人物売買)

自分が持っていない他人の土地を「売ります!」と契約するのは、物件を確保できずに買主が損をするリスクが高いため、原則禁止です。

【原則】 他人物の売買契約は締結してはならない。

【例外】 以下の場合は他人物でも契約OK!

  • その物件を確実に取得できる契約(予約も含む)をすでに行っている場合。
    ※引っかけ注意: 「停止条件付き(〇〇できたら買う)」の契約では不確実なため例外にならず、NGです!
  • 未完成物件で、買主が支払う手付金等の保全措置を講じた場合(※保全措置が不要な場合も含む)。
注意ポイント
【注意ポイント】民法との違いに注意

民法上は他人物売買は有効です(売主は物件を取得して買主に引き渡す義務を負う)。しかし、宅建業法の8種制限では、宅建業者が自ら売主・買主が非業者の場合には原則として禁止されています。試験では「民法では他人物売買は有効だから、宅建業者でもOK」という引っかけが出題されることがあります。

6割賦販売に関する制限(解除・所有権留保)

代金を分割払いで支払う「割賦販売(かっぷはんばい)」における、買主保護のルールです。

① 契約の解除等の制限

買主が分割払いの支払いを1回でも遅れたからといって、業者がいきなり「契約解除だ!家を出て行け!」とするのは厳しすぎます。

割賦金の支払いが遅れた場合、業者は
30日以上 の期間を定めて「書面」で催告
し、その期間内に支払われない場合にのみ、契約を解除できる。

※「15日以上の期間」など、買主に不利な特約を結んでも無効になります。

重要ポイント
【重要ポイント】催告は「書面」で行う必要がある

割賦販売の催告は、口頭ではなく書面で行わなければなりません。さらに「30日以上」の期間を定めて支払いを催促し、その期間内に支払われなかった場合に初めて契約の解除や残額の一括請求(期限の利益の喪失)ができます。催告なしに即解除することはできません。

② 所有権留保等の禁止

「代金を全部払い終わるまで、家の名義(所有権)は売主のままにしておくね」というルール(所有権留保)は、買主の立場が不安定になるため原則禁止です。

【原則】 引渡しまでに所有権の移転登記をしなければならない。

【例外】 以下の場合は所有権を留保(売主のまま)にしてもよい

  • 業者が受け取った額が、代金の10分の3(30%)以下である場合。
  • 受領額が10分の3を超えていても、買主が残金について抵当権等を設定しない、または保証人を立てない場合。
注意ポイント
【注意ポイント】「譲渡担保」も所有権留保と同様に禁止

所有権留保だけでなく、譲渡担保(買主にいったん移転した所有権を担保として売主に戻す方法)も同様に禁止されています。いずれも買主の所有権を不安定にする手法であるため、試験では「譲渡担保なら所有権留保ではないからOK」という引っかけが出ることがあります。答えは×(禁止)です。

学習のコツ
【学習のコツ】8種制限の「共通キーワード」を意識する

8種制限に共通するキーワードは「買主に不利な特約は無効」です。手付金の制限、損害賠償の予定、契約不適合責任、クーリング・オフ、割賦販売──どのルールでも「買主に不利な特約は無効」という原則が貫かれています。問題を解くときは、特約の内容が「民法の原則(=買主に有利なルール)」と比べて有利か不利かを判断基準にすると、正解を導きやすくなります。

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手付金、保全措置、損害賠償、所有権留保など8つのルールを「数字」と「例外」を中心に1枚で横断整理。

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クーリング・オフ 判定フロー

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