営業保証金

2026年(令和8年)10月本試験対応

「直接預けるか」「みんなで出し合うか」── 2つの制度の金額・供託先・日数の違いを一気にマスター!

1そもそもなぜお金を預けるの?

不動産の取引は数千万円単位になることが多く、もし宅建業者が倒産したり、契約違反をして逃げたりした場合、お客さんは泣き寝入りになってしまいます。

そこで宅建業法では、「宅建業を始めるなら、事前にお客さんを救済するためのお金を預けておきなさい」というルールが定められています。この仕組みには大きく分けて2つのルートがあります。

ルート①:営業保証金制度

法務局(供託所)に全額直接預ける

原則的なルートですが、本店だけで1,000万円もの大金を用意しなければならないため、開業のハードルが非常に高くなります。

ルート②:保証協会制度

みんなでお金を出し合って協会に入る

宅建業者が集まって作った「保証協会」に加入するルート。本店の負担は60万円と大幅に抑えられるため、全国の宅建業者の約9割以上がこちらのルートを利用しています。

注意ポイント
【注意ポイント】保証協会への加入は「任意」

「宅建業を営む者は、必ず保証協会に加入しなければならない」という記述は×(誤り)です。保証協会への加入はあくまで任意であり、営業保証金を直接供託することでも宅建業を始めることができます。この引っかけは頻出なので要注意です。

学習のコツ
【学習のコツ】2つのルートを「対比」で覚える

営業保証金と保証協会の仕組みは、「金額」「供託先」「有価証券の可否」「補充の期限」などあらゆる点で異なります。それぞれを単独で覚えようとすると混乱しやすいので、常に2制度を横並びで対比しながら学習するのが得点への近道です。

22つの制度の違い(金額・供託先)

「営業保証金」として法務局に預ける場合と、「保証協会」に加入して分担金を納める場合では、負担する金額のケタがまるで異なります。この数字は試験で必ず問われるため、確実に暗記しましょう。

営業保証金 保証協会(弁済業務保証金)
正式なお金の名称 営業保証金 弁済業務保証金分担金
(協会に納めるお金)
主たる事務所(本店) 1,000 万円 60 万円
従たる事務所(支店)
※1か所につき
500 万円 30 万円
どこに納めるか 主たる事務所の最寄りの
供託所(法務局)
保証協会
有価証券での代用 可(国債・地方債等) 不可(現金のみ)
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重要ポイント
【重要ポイント】新たに支店を出した時のルール

支店を新設した場合、その支店分の額(営業保証金:500万円 / 分担金:30万円)を追加で納めなければなりません。そのお金を納付した後でなければ、新しい支店での業務を開始することは一切できません。「営業開始から2週間以内に納める」といった誤った記述に引っかからないよう注意しましょう。

注意ポイント
【注意ポイント】「弁済業務保証金」の保管先は協会ではなく供託所

保証協会が社員から受け取った分担金は、協会が自ら供託所(法務局)に弁済業務保証金として供託します。社員業者が直接供託所に納めるわけではない点に注意が必要です。お客さんへの還付もこの供託所から行われます。

3お金は「現金」以外でもOK?(有価証券の評価)

1,000万円という大金を現金で一度に用意するのは困難なため、「国債」などの有価証券(紙)で代用することができます。ただし、利用できるかどうかは2つの制度で明確に異なります。

営業保証金の場合
有価証券も使用可
保証協会(分担金)の場合
有価証券は不可(現金のみ)

有価証券の評価割合(計算問題に必須!)

営業保証金として有価証券を供託する場合、額面金額の100%が認められるとは限りません。以下の評価割合を確実に覚えておきましょう。

  • ① 国債証券: 額面金額の 100%
  • ② 地方債証券・政府保証債証券: 額面金額の 90%
  • ③ その他の有価証券(社債など): 額面金額の 80%

(例)地方債1,000万円分を預けても評価額は900万円(90%)となるため、残り100万円は現金等で補う必要があります。

注意ポイント
【注意ポイント】評価割合は「国→地→その他」で100・90・80の順

「地方債の評価割合は80%である」のような引っかけに注意。地方債・政府保証債は90%です。国債だけが満額(100%)として評価されます。「国が最高・地方が次・その他が最低」という序列で覚えると混乱しません。

学習のコツ
【学習のコツ】分担金は「現金のみ」を体に叩き込む

保証協会に納める弁済業務保証金分担金は、有価証券での代用が一切できません。「保証協会=現金のみ」という点は、出題頻度が高い差異です。「営業保証金は有価証券OK・分担金は現金のみ」というセットで確実に押さえておきましょう。

4お客さんが損をした時(還付と補充)

宅建業者のミスでお客さんに損害が生じた場合、そのお客さんは供託されているお金から被害額を取り戻すことができます。これを「還付(かんぷ)」といいます。

最頻出の引っかけ「還付を受けられる者」

還付を受けられるのは「宅建業に関し取引をした者」ですが、ここから「宅建業者(プロ)」は除外されます。

つまり、宅建業者同士の取引でトラブルが生じても、プロ同士なので自分たちで解決しなさいというのがこの制度の考え方です。消費者保護が目的の制度なので、業者が救済を受けることはできません。試験での出題率が非常に高い項目です。

還付後のお金の「補充」【日数が最重要!】

お客さんへ還付が行われると、預けてある保証金が不足してしまいます。業者は定められた日数以内にお金を補充しなければならず、怠ると業務停止や免許取消しの対象となります。

営業保証金の場合 保証協会の場合
免許権者から「不足したよ」と通知を受けた日から
2週間 以内に、供託所に不足額を供託する。
その後、2週間 以内に免許権者へ届出をする。
保証協会から「不足したよ」と通知を受けた日から
2週間 以内に、保証協会に「還付充当金」を納付する。
※その後、保証協会が1週間以内に供託所へ補充します。
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【重要ポイント】「2週間」と「1週間」の整理
  • 業者が補充(還付充当金を保証協会へ納付)する期限:通知を受けた日から2週間以内
  • 保証協会が供託所へ補充する期限:還付充当金を受けた日から1週間以内
  • 保証協会の社員でなくなった業者が営業保証金を供託する期限:社員の地位を失った日から1週間以内
注意ポイント
【注意ポイント】還付充当金を期限内に納付しないと?

2週間以内に還付充当金を保証協会へ納付しなかった場合、保証協会はその社員を除名(社員としての地位を失わせる)することができます。除名されると、今度は1週間以内に自ら営業保証金を供託しなければ業務を続けられません。ペナルティの連鎖を整理しておきましょう。

5保証協会をやめた(クビになった)時の特則

分担金を払わなかったり、不正行為をして保証協会の社員としての地位を失った(追い出された)場合、その業者はどうなるのでしょうか?

協会を追い出された業者は、宅建業を続けるために
「1週間 以内」に、自ら営業保証金を供託しなければならない!

※「2週間」ではなく「1週間」という非常に短い期間で、本店分1,000万円・支店分500万円という大金を現金や有価証券で法務局に供託しなければ、宅建業を続けることができなくなります。

注意ポイント
【注意ポイント】供託先は「主たる事務所の最寄りの供託所」

社員でなくなった業者が営業保証金を供託する先は、主たる事務所(本店)の最寄りの供託所(法務局)です。「保証協会に供託する」という誤った記述が出題されることがありますので、必ず法務局への供託と覚えましょう。

学習のコツ
【学習のコツ】「1週間」が使われる場面を整理する

「1週間」という期限が登場する場面は主に2つ:①保証協会の社員でなくなった業者が営業保証金を供託するまでの猶予、②保証協会が還付充当金を受け取った後に供託所へ補充するまでの期限。「2週間」との混同が最も多いポイントなので、場面ごとに紐づけて覚えましょう。

6事務所の移転と「取戻し」のルール

本店の移転(供託所の変更)

本店が移転すると、最寄りの供託所(法務局)も変わります。すでに預けてあるお金をどのように移動させるかが重要なポイントです。

  • 現金「のみ」で供託している場合:
    元の供託所に依頼して、新しい供託所へお金を移送してもらうことができます(「保管替え」といいます)。手続きが一度で済むため、負担が少ない方法です。
  • 有価証券が含まれている場合:
    保管替えはできません。新しい供託所に新たに全額を供託(二重供託)してから、旧供託所から取り戻す手続きをします。
重要ポイント
【重要ポイント】保管替えが使えるのは「現金のみ」の場合だけ

有価証券が1円でも混じっていると、保管替えの手続きは利用できません。「有価証券が含まれていても保管替えができる」という誤った選択肢に引っかからないよう注意してください。実務上も、有価証券を使っている業者は移転時に二重供託の手続きが必要になります。

預けたお金の「取戻し」と「公告」

廃業した時や保証協会に新たに加入した時など、預けていた営業保証金を取り戻すことができます。ただし、原則として手続きが必要です。

原則:6ヶ月以上の「公告」が必要

まだ還付の権利を持つお客さんが存在する可能性があるため、「権利を持つ方はお申し出ください」と6ヶ月以上の期間を定めて官報等で公告(お知らせ)しなければなりません。この公告期間が終わるまでは取り戻せません。

例外:公告「不要」ですぐに取り戻せる場合

誰も損をするおそれがないと判断される場合は、公告なしで即時取戻しが認められます。

  • 新たに「保証協会」に加入したことで、営業保証金が不要になったとき。
  • 本店移転に伴う二重供託で、旧供託所から取り戻すとき。
  • 廃業等をしてから10年が経過したとき。
注意ポイント
【注意ポイント】廃業後は「直ちに」取り戻せない

「廃業した場合、直ちに営業保証金を取り戻すことができる」という記述は×(誤り)です。原則として6ヶ月以上の公告期間が必要であり、公告なしで取り戻せるのは特定の例外(保証協会加入・二重供託後・10年経過)に限られます。「廃業=即返金」というイメージを修正しておきましょう。

学習のコツ
【学習のコツ】「公告不要の3パターン」を丸ごと暗記

公告不要で即時取戻しができる例外は①保証協会加入②二重供託後の旧供託所分③10年経過の3つだけです。この3パターンを覚えておけば、「公告が必要かどうか」という問いに確実に対応できます。

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営業保証金 vs 保証協会 比較表

2つの制度の「金額」「供託先」「有価証券の可否」「取戻し」を一覧で完全横断比較。

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保証協会の手続 解法フロー

「加入」「還付」「補充」までのお金の流れと、引っかけ頻出の「日数」を図解で整理。

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保証金 ひっかけ対策集 10選

「還付の対象者」「2週間と1週間の違い」「有価証券の評価割合」など試験で狙われる罠を徹底解説。