相 続

2026年(令和8年)10月本試験対応

「誰が・いくら・どこまで?」毎年必ず1問出る相続3大ルールを、図解でスッキリ整理!

1法定相続人「誰が相続するの?」

人が亡くなったとき(被相続人といいます)、残された財産を受け継ぐ権利がある人を法定相続人と呼びます。法律で「誰が相続人になるか」の優先順位が厳格に決まっています。

法定相続人の優先順位マップ
亡くなった人 配偶者 (常に相続人) 第1順位:子 (いれば最優先) 第2順位:父母 (子がいなければ) 第3順位:兄弟 (父母もいなければ)
重要ポイント
【重要ポイント】配偶者は「常に」相続人!ただし法律婚に限る

配偶者(夫・妻)は別格であり、第1〜第3順位のどの血族相続人と組み合わされても必ず相続人になります。ただし、これは婚姻届を出している法律上の配偶者に限られます。事実婚(内縁関係)の相手方や、婚姻届のない「愛人」には一切相続権がありません。

重要ポイント
【重要ポイント】養子・胎児・非嫡出子の扱い
  • 養子(養子縁組をした子)は実子と同様に第1順位の法定相続人になります。
  • 胎児は、相続開始時にはまだ生まれていなくても、すでに生まれたものとみなされ相続権があります(ただし死産の場合は相続権なし)。
  • 非嫡出子(婚外子・認知済み)は法改正により、嫡出子と全く同じ相続分となっています。
注意ポイント
【注意ポイント】相続欠格と廃除 ─ 相続権を失うケース

①相続欠格(自動的に権利を失う):被相続人を殺したり、詐欺・脅迫で遺言を書かせたりした者は、裁判所の手続きなしに自動的に相続権を失います。

②廃除(家庭裁判所の審判・調停が必要):被相続人への虐待や侮辱など著しい非行があった推定相続人について、被相続人が家庭裁判所に申し立てて廃除することができます。廃除は遺言でも行うことができます。欠格・廃除の者の子には代襲相続が発生します(放棄の場合とは異なります)。

学習のコツ
【学習のコツ】順位の覚え方と「配偶者は別枠」を意識する

順位は「子(直系卑属)→ 父母(直系尊属)→ 兄弟姉妹」の3段階。配偶者は常に相続人です。「誰が相続人か」の問題では、まず配偶者あり/なし、次に最上位の血族相続人は誰かを確認する2ステップで解くとミスが減ります。

2法定相続分「どれくらいもらえる?」

誰が相続人になるかが決まったら、次は「いくらもらえるか(割合)」です。宅建試験ではこの計算問題が頻出します。

配偶者 + 第1順位(子)
妻:
12
子:
12

※子が複数いる場合は、この「1/2」をさらに子どもの人数で均等に割ります。

配偶者 + 第2順位(父母)
妻:
23
親:
13

※子がおらず、親が生きていた場合のパターンです。

配偶者 + 第3順位(兄弟)
妻:
34
兄:
14

※子も親もいない場合のパターン。配偶者の取り分が一番多くなります。

重要ポイント
【重要ポイント】非嫡出子(婚外子・認知済み)の相続分

かつては「認知された婚外子の取り分は嫡出子の半分」というルールがありましたが、法改正(民法900条の改正)により、嫡出子と非嫡出子の相続分は完全に同じとなっています。試験では「婚外子は半分」という古い記述がひっかけとして出題されることがあります。

注意ポイント
【注意ポイント】計算問題の典型的な落とし穴
  • 配偶者のいない場合:血族相続人のみで全財産を均等に分けます(例:子2人なら各1/2)。
  • 子が複数いる場合:子全体の取り分(例:1/2)をさらに人数で割ります(例:子2人なら各1/4)。
  • 半血兄弟姉妹:父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹(半血兄弟)の相続分は、全血兄弟(父母ともに同じ)の半分です。これは現行民法でも維持されているルールです(子の相続分と異なり、兄弟姉妹の相続分では区別が残ります)。
学習のコツ
【学習のコツ】相続分は「組み合わせ3パターン」で丸覚え!

配偶者の相続分は「子とのとき1/2、親とのとき2/3、兄弟とのとき3/4」と増えていきます。分母が「2→3→4」と1つずつ増え、分子は常に配偶者が多めという規則性で覚えましょう。

3代襲相続「代わりに相続するルール」

「相続するはずだった人(子)が、親よりも先に死んでいた!」
この場合、その死んだ子の子ども(=孫)が代わりに相続権を引き継ぎます。これを代襲相続(だいしゅうそうぞく)といいます。

A(今回死亡) B(既に死亡) Bは相続できない… C(孫)が代襲相続!
子の系統は「無制限」

子が先に死んでいれば「孫」へ。孫も先に死んでいれば「ひ孫」へ…。下に向かってはどこまでも代襲相続が続きます(再代襲といいます)。

兄弟姉妹の系統は「1代限り」

第3順位の「兄弟姉妹」が先に死んでいた場合、その子ども(=甥や姪)までは代襲相続できますが、甥や姪も死んでいた場合、その下には引き継がれません。1代限りでストップします。(超頻出!)

重要ポイント
【重要ポイント】代襲相続が発生する3つの条件
  • ①死亡:本来の相続人が被相続人より先に(または同時に)死亡した場合 → 代襲あり
  • ②相続欠格:本来の相続人が犯罪等により相続権を失った場合 → 代襲あり
  • ③廃除:本来の相続人が被相続人により廃除された場合 → 代襲あり
注意ポイント
【注意ポイント】「相続放棄」した場合は代襲しない!

子が自らの意志で「相続を放棄した」場合、その子ども(孫)に代襲相続は発生しません。借金から逃れるために放棄したのに孫に相続されては意味がないためです。一方、欠格・廃除の場合は孫に代襲が発生します。この違いは頻出ひっかけポイントです。

学習のコツ
【学習のコツ】代襲を整理する「キーワード比較」

死亡・欠格・廃除→代襲あり」「放棄→代襲なし」の対比をセットで覚えましょう。また「子の代襲は無制限、兄弟の代襲は1代限り」も必ずセット記憶です。

4遺言(自筆証書と公正証書)

生前に「自分の財産はこう分けてくれ」と書き残すのが遺言です。法定相続分よりも、遺言の内容が優先されます。なお、遺言は15歳から単独で行うことができます(未成年でも親の同意は不要)。また、いつでも自由に撤回・変更でき、後から書いた遺言が前の遺言に矛盾する場合は後の遺言が優先されます。

比較項目 自筆証書遺言 公正証書遺言
方式・書き方 全文を自筆(手書き)
※ただし財産目録だけはパソコン作成や通帳のコピーでもOK(各頁に署名押印が必要)。
公証人が作成
※本人が口頭で伝えた内容を公証人が書面にまとめる。
証人(立会人) 不要 2人以上の証人が必要
家庭裁判所の「検認」
(偽造防止の手続き)
原則:必要
例外:法務局の保管制度利用時は不要!
不要
(公証人作成のため偽造リスクなし)
費用・手間 無料・手軽(自分で書くだけ) 公証人手数料が必要(財産額に応じる)
安全性・信頼性 紛失・偽造・隠匿のリスクあり 高い(原本を公証役場が保管)

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重要ポイント
【重要ポイント】自筆証書遺言保管制度(法務局保管)とは

法務局(遺言書保管所)に自筆証書遺言を預けると、紛失・改ざんのリスクがなくなり、さらに家庭裁判所での検認が不要になります。この制度を利用した遺言書は、相続開始後に法務局が相続人等に通知することもできます。試験では「法務局保管の場合は検認不要」という点が出題されます。

注意ポイント
【注意ポイント】公正証書遺言の証人になれない人

公正証書遺言の証人は誰でもなれるわけではありません。以下の者は証人欠格者として立ち会えません。①未成年者、②推定相続人・受遺者・それらの配偶者および直系血族、③公証人の配偶者・四親等内の親族・書記・使用人。要は「遺言で利益を受ける側の関係者はNG」と覚えましょう。

学習のコツ
【学習のコツ】「自筆 vs 公正証書」を対比で整理する

比較ポイントは「証人の要否」「検認の要否」「財産目録の扱い」の3点。公正証書は証人あり・検認なし自筆は証人なし・検認あり(法務局保管なら不要)。試験では「自筆は証人が必要」「公正証書でも検認が必要」などの誤りが頻出です。

5遺留分と「相続の承認・放棄」

遺留分(いりゅうぶん)とは?

「全財産を愛人にゆずる」という遺言があっても、残された家族が法律上最低限保障される取り分のことを遺留分といいます。遺留分は遺言よりも強く保護された権利です。

【重要ポイント】遺留分の権利者と割合
相続人の構成 遺留分の総額(財産全体に対して) 各人の遺留分
配偶者のみ 財産の1/2 配偶者:1/2
子のみ(1人) 財産の1/2 子:1/2
配偶者+子(1人) 財産の1/2 配偶者:1/4 / 子:1/4
直系尊属のみ(父母等) 財産の1/3 直系尊属全体で1/3を均等に
兄弟姉妹 遺留分なし!(全額遺贈されても請求不可)

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注意ポイント
【注意ポイント】兄弟姉妹には「遺留分」が一切ない!(超頻出)

遺留分が認められるのは配偶者・子(直系卑属)・直系尊属(父母等)のみです。第3順位の兄弟姉妹には一切遺留分がありません。「全財産を社会に寄付する」という遺言があっても、兄弟姉妹は1円も請求できません。宅建試験では最頻出の落とし穴です。

注意ポイント
【注意ポイント】遺留分侵害額請求は「金銭」で請求する

遺留分を侵害された相続人は、受遺者(財産をもらった人)に対して遺留分侵害額請求権を行使できます。ただし、かつては「物の返還」を求めることができましたが、民法改正(2019年施行)により、現在は「金銭での支払い」を請求するのみとなっています。物を返す義務はありません。

また、この請求権は相続の開始および遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から1年で時効消滅します(知らなかった場合でも相続開始から10年)。

相続の承認と放棄

多額の借金が残されている場合など、相続人は「相続しない」ことを選択できます。

  • 熟慮期間(考える期間):承認または放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に行う必要があります。期間が過ぎると自動的に「単純承認(プラスもマイナスも全て引き継ぐ)」とみなされます。
  • 放棄の手続き:相続放棄は必ず家庭裁判所への申述が必要です。他の相続人に「いらない」と伝えただけ、書面に署名しただけでは法的な放棄にならず、借金もそのまま引き継いでしまいます。
  • 放棄の撤回禁止:一度家庭裁判所で相続放棄を申述したら、原則として撤回することはできません
  • 限定承認:「プラスの財産の範囲内でのみマイナス(借金)も引き継ぐ」という選択肢が限定承認です。ただし相続人全員が共同で家庭裁判所に申述する必要があります(一部の人だけでは不可)。
注意ポイント
【注意ポイント】「法定単純承認」となってしまうケース

次のいずれかに該当すると、熟慮期間内でも単純承認したものとみなされ、放棄できなくなります。①相続財産の全部または一部を処分したとき(例:遺産を売却・消費した)、②熟慮期間(3ヶ月)を過ぎたとき、③放棄後に相続財産を隠したり消費したとき。特に「財産を少し使ってしまった」だけで単純承認とみなされるケースは頻出ひっかけです。

学習のコツ
【学習のコツ】遺留分・承認・放棄の「数字」を整理する

数字は「遺留分侵害額請求の時効:1年(or 10年)」「熟慮期間:3ヶ月」「公正証書の証人:2人以上」「遺言可能年齢:15歳」の4つをセットで覚えましょう。これらはそのまま選択肢になって出題されます。

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