重要事項説明書

2026年(令和8年)10月本試験対応

毎年3問出る最重要テーマ!「35条 vs 37条」の混同トラップと記載事項の引っかけを完全に潰す!

1重要事項説明(35条)の目的と基本ルール

不動産の取引は金額が大きく、契約してから「こんな欠陥があるなんて知らなかった!」「ここに家を建てちゃダメなんて聞いてない!」となると、お客さんは大損害を受けます。

そこで宅建業法第35条は、「契約を結ぶ前に、物件の重要な情報や取引の条件を、不動産のプロ(宅建士)が書面を交付して口頭で説明しなさい」と義務付けています。これを重要事項説明(重説)と呼びます。

学習のコツ
【学習のコツ】35条は「まだ契約していない人」を守る制度

重要事項説明は「契約前」に行うもの。一方、37条書面は「契約後」に交付するものです。この「タイミングの違い」を常に意識しましょう。「この情報は契約する前に知っておくべきか? それとも契約後に確認すればよいか?」と考えるクセをつけると、35条と37条の記載事項の振り分けが自然と判断できるようになります。

重要ポイント
【重要ポイント】重要事項説明の「3つの柱」
  • 書面の交付:宅建士が記名した35条書面(重要事項説明書)を必ず交付する
  • 口頭での説明:宅建士が書面の内容を口頭で説明する(独占業務)
  • 宅建士証の提示:説明の際、請求がなくても宅建士証を提示する

2誰が、いつ、誰に説明する?

重要事項説明には、宅建試験で毎年必ず問われる「厳格なルール」があります。

誰が説明する?(説明義務者)

宅地建物取引士

宅建士の「独占業務」です。資格を持たない従業員が説明すると業法違反になります。

引っかけ注意:
「専任の宅建士」である必要はありません!パートやアルバイトの宅建士でも説明可能です。

誰に説明する?(相手方)

買主 または 借主

これから物件を取得したり借りたりする「お金を払う側」にだけ説明すればOKです。

引っかけ注意:
売主や貸主に対して説明する義務はありません!(自分の物件のことは知っているはずだからです)

説明のタイミングと「宅建士証の提示」
契約が成立する に説明する!

契約してから「やっぱりやめた」は通用しないため、必ず契約前に説明します。

宅建士証の提示義務:
説明をする際は、相手から請求されなくても、必ず宅建士証を提示しなければなりません。
(※提示せずに説明を行うと、10万円以下の過料等の対象になります)
注意ポイント
【注意ポイント】宅建士証の「提示」と「請求」の使い分け

35条の重要事項説明では、相手方からの請求がなくても必ず宅建士証を提示しなければなりません。一方、取引関係者から請求があった場合も宅建士証を提示する義務がありますが(22条の4)、こちらは「請求があったとき」に限られます。試験では「35条の説明時に宅建士証の提示は、相手方から請求があった場合にのみ行えばよい」という引っかけが頻出です。35条では常に・自主的に提示が正解です。

注意ポイント
【注意ポイント】「説明義務者」と「交付義務者」は違う!

35条書面の「説明」は宅建士の独占業務ですが、35条書面の「交付」義務を負うのは宅建業者です。試験では「宅建士が交付義務を負う」と出題されることがありますが、これは誤りです。交付は業者の義務、説明は宅建士の義務と区別して覚えましょう。ただし、35条書面には宅建士の記名が必要です(押印は2022年改正で廃止されています)。

3【図解】35条書面と37条書面の違い

宅建試験で最も受験生を苦しめるのが、「重要事項説明書(35条書面)」と「契約書(37条書面)」のルールの混同です。この2つのタイミングと目的の違いを完璧に区別することが合格への絶対条件です。

35条書面と37条書面のタイムライン
契約成立 重要事項説明(35条) 「契約するかどうか」を判断する ・買主(借主)のみに交付 ・宅建士による「説明」が必要 ・宅建士証の提示が必須 契約書の交付(37条) 「契約した内容」を証拠に残す ・両当事者(売主買主とも)に交付 ・内容の「説明」は不要! ・宅建士証の提示も不要

※なお、「宅建士が記名する(押印は不要)」という点は、35条書面も37条書面も共通です。

【重要ポイント】35条と37条の相違点 一覧比較
比較項目 35条書面(重要事項説明書) 37条書面(契約書)
交付時期 契約が成立する 契約が成立した遅滞なく
交付の相手方 買主・借主のみ 両当事者(売主・買主とも)
口頭での説明 必要(宅建士の独占業務) 不要
宅建士証の提示 請求なくても必須 不要
宅建士の記名 必要 必要
交付義務者 宅建業者 宅建業者
業者間取引 書面交付は必要、説明は省略可 省略不可(交付必要)

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4相手方が「宅建業者」の場合の特例

もし、物件を買ったり借りたりするお客さん(相手方)が、プロである「宅建業者」だった場合、わざわざ同じプロに1から10まで口頭で説明する必要があるでしょうか?

業者間取引における35条の特例
「35条書面の交付」は 必要(省略不可) だが、
宅建士による「説明」は 省略できる(不要)

※「プロ相手だから書面すら渡さなくていい」という引っかけが多発しますが、書類(35条書面)は絶対に交付しなければなりません。省略できるのは口頭での説明と宅建士証の提示だけです。

注意ポイント
【注意ポイント】37条書面は業者間でも省略できない!

35条では業者間取引なら「説明の省略」が認められていますが、37条書面(契約書)の交付には一切の特例がありません。相手方が宅建業者であっても、37条書面は必ず交付しなければなりません。「業者間だから37条書面も省略できる」は典型的なひっかけです。

重要ポイント
【重要ポイント】供託所等に関する説明(35条の2)も業者間不要

営業保証金や弁済業務保証金に関する事項(供託所等の説明)も、相手方が宅建業者の場合は説明が不要です。これは35条の2に定められており、35条の業者間特例と合わせて押さえておきましょう。

5【超重要】記載事項の引っかけポイント(売買・貸借)

「この項目は35条の記載事項か?(説明が必要か?)」という問題が出ます。特に以下の3つのパターンが試験委員の狙い目です。

罠①:「代金の額」は35条では説明しない!

物件の価格(代金・借賃の額)やその支払時期は、「37条書面(契約書)」の絶対的記載事項ですが、「35条書面(重要事項説明)」の記載事項ではありません!

35条で説明するのは「代金・借賃【以外】に授受される金銭(手付金や敷金など)」です!

※お客さんは値段を知った上で「契約しようかな」と思って重説の席に座っているため、わざわざ法律で「値段を説明しろ」と義務付ける必要がないからです。

罠②:登記に関するルールのズレ
  • 「登記された権利の種類・内容
    → 契約前に知るべきなので35条のみ記載
  • 「移転登記の申請の時期
    → 契約後の手続きなので37条のみ記載
罠③:「貸借」特有の記載事項

借りる人にとって重要な以下の情報は、「貸借」の場合のみ35条で説明が必要です。(売買では不要)

  • 台所、浴室、便所等の設備の整備状況
  • 契約期間、更新に関する事項
  • 契約終了時の「敷金の精算」に関する事項
注意ポイント
【注意ポイント】35条と37条の「重複記載事項」に注意

一部の事項は35条書面にも37条書面にも記載が必要です。代表的なものとして、「代金・借賃以外に授受される金銭の額と授受の目的」「契約の解除に関する事項」「損害賠償額の予定・違約金に関する事項」「ローンのあっせんの内容と不成立時の措置」があります。「35条だけ」「37条だけ」「両方」の3つの区別を問う出題は頻出です。

【重要ポイント】35条のみ・37条のみ・両方に記載される主な事項
35条のみ 37条のみ 両方に記載
・登記された権利の種類・内容
・法令上の制限の概要
・飲用水・電気・ガスの供給施設
・私道負担に関する事項
・建物の状況調査の結果の概要
・水害ハザードマップの所在地
代金・借賃の額、支払時期・方法
・移転登記の申請の時期
・引渡しの時期
・天災等による危険負担
・税の負担に関する事項
・代金以外に授受される金銭
・契約の解除に関する事項
・損害賠償額の予定・違約金
・ローンのあっせんと不成立時措置

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6近年の頻出テーマ(インスペクション・ハザード等)

法改正等により追加された、実務に直結する項目は毎年必ず出題されます。

項目 対象取引 説明する内容 & 引っかけポイント
建物の状況調査
(インスペクション)
既存建物(中古)の
売買・交換・貸借
実施後1年以内の調査結果がある場合、その「結果の概要」を説明する。
※「貸借」の場合でも結果の概要の説明は必要!(ただし、調査機関のあっせんは売買・交換のみ)
水害ハザードマップ 全取引(売買・貸借) 市町村が作成した水害ハザードマップにおける「当該物件の所在地」を説明する。
石綿(アスベスト)
使用調査の結果
全取引(売買・貸借) 調査の記録が「あるときは」その内容を説明する。
※「自ら調査を実施する義務」はない!
耐震診断の結果 旧耐震の建物の
全取引(売買・貸借)
昭和56年5月31日以前に着工された建物で、診断の記録が「あるときは」説明する。(これも自ら診断する義務はない)

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学習のコツ
【学習のコツ】「自ら調査する義務はない」を3点セットで覚える

インスペクション(建物状況調査)、アスベスト、耐震診断の3つは、いずれも「記録があるときだけ」説明すればよく、宅建業者が自ら調査・診断する義務はありません。試験では「調査を実施したうえで説明しなければならない」と出題される引っかけが定番です。「あるときは説明する、ないときは何もしなくてよい」をセットで記憶しましょう。

注意ポイント
【注意ポイント】インスペクションの「あっせん」と「結果の概要」の対象を区別する

インスペクション(建物状況調査)について、調査を実施する者のあっせんに関する事項は「売買・交換」の場合のみ説明が必要です(媒介契約時にも確認)。一方、調査結果の概要は「売買・交換・貸借」のすべてで説明が必要です。「貸借ではインスペクションの説明は一切不要」という引っかけに注意してください。

7区分所有建物(マンション)特有の記載事項

マンション等の区分所有建物を取引する場合、一戸建てにはない特有のルール(管理費や修繕積立金など)を説明しなければなりません。

【全取引(売買・貸借)】で説明
  • 専有部分の用途その他の利用制限
    (例:ペット飼育禁止、事務所利用不可など)
  • 専用使用権に関する事項
    (例:専用庭、専用駐車場があるかなど)
  • 管理の委託先
    (管理会社の氏名・住所)
【売買・交換のみ】で説明(※貸借は不要)
  • 敷地に関する権利の種類・内容
    (所有権か借地権か)
  • 修繕積立金、管理費の額
    (※すでに滞納がある場合は、その滞納額も必ず説明しなければならない!)
  • 共用部分に関する規約の定め
注意ポイント
【注意ポイント】修繕積立金の「滞納額」は必ず説明!

マンション売買で修繕積立金や管理費に滞納がある場合、買主がその債務を承継することになるため、滞納額も含めて35条で説明する必要があります。「滞納の有無については説明義務がない」という選択肢は誤りです。なお、「管理費や修繕積立金の額」は売買・交換では説明が必要ですが、貸借では不要とされています(借主は区分所有者にならないため)。

重要ポイント
【重要ポイント】「規約の定め」は案(まだ決まっていないもの)も含む

区分所有建物の専有部分の利用制限や共用部分に関する「規約の定め」を説明する際、すでに規約として成立しているものだけでなく、規約の「案」も含まれます。これは新築マンションなど、まだ管理組合が設立されていない段階で売買する場合に関わります。「規約が成立していなければ説明不要」は誤りです。

8IT重説(オンラインでの重要事項説明)

法改正により、対面だけでなく、テレビ会議等のITを活用した重要事項説明(IT重説)が「売買・貸借」のどちらでも認められるようになりました。以下の要件を満たす必要があります。

  • 映像と音声の双方向のやり取りができること。(※電話だけではNG)
  • 宅建士が、事前に35条書面(PDF等の電磁的方法も可)を相手方に交付していること。
  • 画面上で宅建士証を提示し、相手がそれをはっきりと視認できたことを確認してから説明を始めること。
注意ポイント
【注意ポイント】IT重説でも宅建士証の「提示」は必要!

IT重説はオンラインで行うため「宅建士証の提示は不要」と出題されることがありますが、これは誤りです。画面上で宅建士証を映し出し、相手方が視認できるようにする必要があります。また、IT重説はあくまで説明方法の選択肢であり、書面の交付義務自体がなくなるわけではありません。

935条書面の電磁的方法による提供

2022年(令和4年)の宅建業法改正により、35条書面(重要事項説明書)も37条書面(契約書)も、相手方の承諾を得た場合に限り、紙の書面に代えて電磁的方法(PDFメール送信等)で交付できるようになりました。

【重要ポイント】電磁的方法による交付の要件
要件 内容
相手方の承諾 相手方の承諾を得た場合に限り、電磁的方法で提供できる。承諾なしに電子データだけ送付するのはNG。
出力可能であること 相手方が書面として出力(印刷)できる形で提供しなければならない。
宅建士の記名 電磁的方法で提供する場合でも、宅建士の記名に代わる措置(電子署名等)を講じなければならない。
撤回の可否 相手方はいつでも承諾を撤回し、紙の書面での交付を求めることができる。

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学習のコツ
【学習のコツ】「押印の廃止」と「電磁的方法」はセットで覚える

2022年改正で、35条書面・37条書面ともに宅建士の押印が廃止され(記名のみでOK)、同時に電磁的方法での交付が解禁されました。この2つは同じ改正で行われたセット改正です。近年の本試験で出題実績があるため、「押印は不要」「電磁的方法は承諾があれば可」の2点を正確に覚えておきましょう。

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